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経産省が車体課税の抜本的見直しを要求
● 自動車取得税・自動車重量税の廃止を要望
  「税金は、取りやすいところから取る」を具現化しているのが自動車への課税。経済産業省は、2011年度税制改正要望で、「急激な円高等により加速する産業空洞化への対応」を旗印に、車体課税の見直しを迫っている。「自動車取得税の廃止」、「自動車重量税の廃止」、「環境対応車に対する優遇措置」(自動車取得税及び自動車重量税の廃止を前提に、自動車税において措置)が、その内容だ。
  車体課税は、取得段階で消費税(国税・地方税、2011年度税収見込6,864億円)、自動車取得税(地方税、同1,920億円)、保有段階で自動車重量税(国税、同7,218億円)、自動車税(地方税(都道府県税)、同1兆5,947億円)、軽自動車税(地方税(市町村税)、同1,808億円)、総額で3兆3,757億円にのぼる。
  取得税及び重量税の廃止で、9,138億円の減税、車両価格180万円、重量1.5トン、排気量1,800tの乗車で、12万6,000円の減税になる。
  経産省要望では、自動車取得税は当分の間として適用されている税率も含め、2012年度から廃止。自動車重量税も、当分の間として適用されている税率も含め、2012年度から廃止。環境対応車への優遇措置は、
  (1)次世代自動車及び排ガス・燃費性能に優れた乗用車に対し、環境性能に応じて段階的に減免
  (2)この減免措置の適用期限を3年間に拡充し、新しい自動車への買換えを促進する
    というもの。代替増税案はない。
● 日本の自動車に対する税負担は米国の49倍
  このように車体課税については、取得段階で自動車取得税と消費税の二重課税となっており、保有段階でも車検時の自動車重量税と毎年4月1日現在の持ち主に自動車税(軽自動車税)が課税されていることから、複雑かつ過大な負担をユーザーに強いているとの指摘が従来からされてきた。日本自動車工業会の資料によると、日本の自動車に対するユーザーの税負担は米国の49倍となっている。
  また、そもそも、自動車重量税と自動車取得税は、道路特定財源の廃止により、その課税根拠を失っていることも廃止とする理由。
  2009年度所得税法改正法の附則では、税制の抜本改革のため2011年度までに法制上の措置をするもののひとつとして、自動車関係諸税の簡素化が挙げられていた。さらに、2011年度税制改正大綱の検討事項には、車体課税の簡素化・グリーン化・負担の軽減を行う方向で見直すとの記述が盛り込まれていた。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
  
2011.10.17
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