>  今週のトピックス >  No.2322
法人の黒字申告割合は25.2%、3年連続で過去最低
〜2010事務年度の法人税の申告事績〜
● 申告所得・税額ともに4年ぶりの増加
  国税庁がこのほど発表した「平成22事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、今年6月末現在の法人数は前年度に比べ0.7%(2万法人)減の297万8千法人で、うち今年7月までの1年間に申告したのは、同0.9%(2万4千法人)減の276万2千法人だった。
  その申告所得金額は、同7.0%(2兆3,526億円)増の36兆1,836億円、申告税額の総額も同7.5%(6,560億円)増の9兆3,856億円と、共に7%程度増加した。申告所得金額、申告税額ともに4年ぶりの増加となる。
  ただし、法人の黒字申告割合は25.2%と、前年度に比べ0.3ポイント減少し、初めて30%を割り込んだ2008年度から3年連続で過去最低を更新した。企業業績は回復基調にあったが、繰越欠損金と相殺され、黒字法人の割合は増えなかったとみられている。法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分にも満たない低い数字が、1993年度から18年も続いている。
  4年ぶりの増加となった黒字法人の申告所得金額は、黒字申告1件あたりでは前年度に比べて9.1%増の5192万円となった。一方、申告欠損金額は、同23.6%減の20兆8,969億円と大幅に減少した。赤字申告1件あたりの欠損金額も同23.3%減の約1,012万円となっている。ちなみに、申告所得金額のピークは2006年度の57兆828億円、申告欠損金額のピークは2002年度の33兆116億円だ。
● 連結法人の黒字申告割合は32.7%
  また、今年6月末現在の連結法人数は9,509法人で、前年度に比べ24.1%(1,846法人)増加した。そのうち、親法人数が1,141法人(前年度930法人)、子法人数が8,368法人(同6,733法人)とそれぞれ2割強増えている。
  その申告件数は904件(前年度841件)、黒字申告割合は32.7%(同32.1%)、申告所得金額は2兆3,986億円(同2兆2,669億円)と、いずれも前年度に比べ増加しているが、黒字申告1件当たりの申告所得金額は8,103万円(同8,395万円)とやや減少した。また、申告欠損金額は2兆3,696億円(同2兆4,133億円)、赤字申告1件当たりの欠損金額は3,897億円(同4,226億円)と、いずれも減少している。
  なお、2010事務年度における源泉所得税額は12兆5,597億円で、前年度に比べ2.1%(2,624億円)増と4年ぶりに増加した。
  これは、主に「給与所得」の税額が同0.8%増の8兆6,389億円、「配当所得」が同18.0%増の1兆6,701億円、「非居住者等所得」が同22.0%増の3,037億円と増加したことによるもの。そのほか、「利子所得」は同16.2%減の5,196億円、「退職所得」は同5.6%減の2,309億円などとなっている。
参考:国税庁「平成22事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/hojin_shinkoku/01.pdf
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2011.10.24
前のページにもどる
ページトップへ