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臨時国会開会、復興増税関連の協議始まる
● 政府、復興増税の基本的方針を閣議決定
  先日、10月20日に第179臨時国会が召集され、震災復興のための平成23年第3次補正予算と復興増税の関連法案の成立に向けて、与野党協議が始まっている。それに先立ち、10月7日に政府は「平成23年度第3次補正予算及び復興財源の基本的方針」を閣議決定している。それによると、平成23年度第3次補正予算は、総額概ね12兆円程度の規模となる。東日本大震災関係経費としては、概ね11兆円台半ばの金額を計上し、これらの歳出を賄うため、歳出削減を図るほか、復興債が発行される予定である。
  復興財源については、歳出削減や税外収入のほか、税制措置による復興増税が予定されている。現在与野党による協議が行われており、最終的には内容が変更になる可能性があるが、当初案は以下の通りである。
● 復興増税の主な内容(当初予定)
  まず国税において、復興特別所得税、復興特別法人税、復興特別たばこ税(いずれも仮称)の3つを時限的な付加税として創設する。
  復興特別所得税は、現行の所得税額に対して4.0%とし、期間は平成25年1月から平成34年12月までの10年間とする。復興特別法人税は、法人税額に対して10%とし、期間は平成24年度から平成26年度までの3年間とする(ただし、平成23年度税制改正による法人実効税率の引き下げが前提)。復興特別たばこ税は、現行のたばこ税やたばこ特別税とは別に、たばこ1本に対し1円とし、平成24年10月から平成34年9月までの10年間とする。
  地方税においては、個人住民税の均等割の引き上げと地方たばこ税の引き上げが行われる。個人住民税の均等割は、平成26年度分から平成30年度分までの5年間(特別徴収については、平成26年6月から平成31年5月までの5年間)、1年につき500円引き上げられる。地方たばこ税については、平成24年10月から平成29年9月までの5年間、たばこ1本に対し1円引き上げられる。
● 平成23年度税制改正からも、復興増税に充当
  上記は、新たな時限的措置として設けられる付加税であるが、まだ未成立である平成23年度税制改正の中からも、「個人所得課税における所得控除の見直し」による財源が復興増税に充当される予定である。平成23年度税制改正には、給与所得控除の上限設定及び成年扶養控除の見直しが含まれているが、現時点ではまだ成立していない。これを平成24年分(住民税については平成25年度分)から実施することで、復興財源に充てるとしている。
  また、同じく平成23年度税制改正における未成立項目として、相続税増税がある。平成23年度税制改正には、相続税の基礎控除の引き下げと税率構造等の見直しが含まれているが、これが実施されなければ、平成23年度予算の前提となる財源に支障をきたし、間接的に復興財源にも影響を与えることとなる。そのため、平成24年1月1日から確実に実施することとしている(ただし、贈与税の税率構造緩和及び相続時精算課税の対象拡大とセットで実施)。
  尚、繰り返しになるが、今後の与野党協議の結果により内容は変更になる可能性があるので、ご留意頂きたい。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2011.10.31
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