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平成22年度に監督指導により支払われた割増賃金の合計額は、約123億円
● 退職した従業員からの未払い残業代の請求も増加傾向
  厚生労働省は、このたび「平成22年度 賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ」を発表した。この結果は、平成22年4月から平成23年3月までの間に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、その是正を指導した結果、不払になっていた割増賃金の支払が行われたもののうち、その支払額が1企業当たり合計100万円以上となった事案についてまとめている。
  このような定期監督及び申告等に基づく不払いになっていた割増賃金の支払とは別に、退職した従業員個人からの未払い残業代の請求も増加している。中小企業であっても内容によっては、数百万円から数千万円単位の訴訟に発展することもあるので、早急に対策が求められるところである。
● 1企業での最高支払額は、旅館業の3億9,409万円
  調査結果のまとめによると、是正企業数は1,386企業、対象労働者数は115,231人、支払われた割増賃金の合計額は123億2,358万円である。企業平均では889万円、労働者平均では11万円となった。
  そのうち、1企業当たり1,000万円以上の割増賃金の支払が行われた事案をみると、是正企業数は200企業(全体の14.4%)、対象労働者数は57,885人(全体の50.2%)、支払われた割増賃金の合計額は88億5,305万円(全体の71.8%)である。企業平均では4,427万円、労働者平均では15万円である。
  業種別の状況をみると、企業数、支払われた割増賃金額では製造業が最も多いが、対象労働者数では商業が最も多くなっている。1企業での最高支払額は、3億9,409万円(旅館業)で、次いで3億8,546万円(卸売業)、3億5,700万円(電気通信工事業)の順となっている。
  最後に15年度から22年度までの是正支払状況を表にまとめてみたが、21年度と比較すると、22年度はいずれの項目でも増加傾向にあり、今後の行政の動きにも注目しておきたいところである。
  ■100万円以上の割増賃金の是正支払状況
  
年度 企業数 対象労働者数(人) 是正支払額(万円)
15年度 1,184 194,653 2,387,466
16年度 1,437 169,111 2,261,314
17年度 1,524 167,958 2,329,500
18年度 1,679 182,561 2,271,485
19年度 1,728 179,543 2,724,261
20年度 1,553 180,730 1,961,351
21年度 1,221 111,889 1,160,298
22年度 1,386 115,231 1,232,358
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
2011.10.31
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