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見直しが必要な投資信託の見分け方
  世界的な株安や為替の円高から、株式や外貨建投資信託離れが加速している一方で、将来に備えて投資信託を少しでも購入してみたいと思っている投資家もいるようである。投資家の中には投資信託の良し悪しを自分で判断せず、宣伝文句や利回りの良さだけで購入してしまう方も多いようだ。この機会に、見直しが必要な投資信託の見分け方を5つのポイントで押さえておこう。
1.基準価額が大きく変動
  1万円でスタートした基準価額が、すぐに2万円に上昇し、その後4分の1の5,000円まで下がったりする投資信託もある。このように基準価額が大きく変動する投資信託は、ハイリスク・ハイリターンの有価証券やコモディティに投資していることも考えられる。自分の投資スタンスに合っているかを見極める指標のひとつになる。
2.純資産残高が激減
  投資信託の純資産が激減しているファンドは値下がりだけではなく、解約が多いことも予想される。ファンドの解約が多くなった場合、そのファンドを運用する専門家(ファンドマネージャー)は解約に備え、解約資金を準備しなければならず、預金などの換金性の高い金融商品に投資することが多くなり、本来の投資が難しくなる。なお、純資産残高がかなり減った場合には、繰り上げ償還されることもある。純資産残高の推移は重要指標の一つといえる。
3.ベンチマークと大きく乖離
  そのファンドが運用の目安(目標)としている指数をベンチマークという。たとえば、その指数が10%値上がりしていても、ファンドの上昇率がそれ以下であったり、その指数が5%しか値下がりしていなくても、下落率がそれ以上であったりする投資信託は、商品性が劣っているということも考えられる。
4.年間のコストが高い
  年間にかかる費用として、信託報酬、目論見書作成費用、監査費用などがある。購入手数料が低くても、年間にかかるコストが他の投資信託より高い場合は、投資家の利益を損なうこともあるのでコストの低い同じような分類の投資信託へシフトすることも検討したい。
5.運用成績が極端に悪い
  過去の運用実績も投資判断の一つとなる。過去の実績がいいからといって、将来も保証されるわけではないがわかりやすい指標である。運用実績を見ればファンドマネージャーの良し悪しがわかるので、投資信託を選ぶ際の重要なポイントとなる。2で説明しているベンチマークと乖離の度合いとを合わせて比較することをお奨めする。
  1〜5のような投資信託を保有しているのであれば、是非一度見直していただきたい。現在、日本で購入できる投資信託は4,000本以上あるので、その中からご自分のリスクに合った投資信託を選び、将来の夢や目標に向かって運用するようにしましょう。
  
伊田 賢一(いだ・けんいち)
株式会社FPウィム代表取締役、株式会社 WINKS 代表取締役
CFP®認定者、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券会社3社に勤務の後、2002年に独立系FPとして活動開始。独立系FP会社役員を経て、2007年に相談業務を中心としたFP会社として株式会社FPウィムを設立。2010年には多角的なFPサービスの提供を目的とした株式会社WINKSを設立。さいたま朝日「家計の知っ得」、ホケモン「保険の基礎知識」ほか多数媒体にて連載執筆中。著書に『うかる!FP技能士2級』『うかる!FP技能士3級』『うかる!証券外務員2種』などがある。NPO法人日本FP協会 埼玉支部副支部長、マネーカフェさいたま代表、埼玉県金融広報委員会アドバイザー。
http://fpwim.com/
  
2011.11.07
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