>  今週のトピックス >  No.2331
「切迫早産」告知における留意点
  通常分娩とは、妊娠37週〜40週の間の出産をいいます。妊娠22週以降〜37週未満の早い時期に出産することを「早産」といい、総分娩数の約5%といわれています。
  「切迫早産」とは、陣痛のような症状や、陣痛計(陣痛の強度である子宮内圧を計測する装置)による子宮収縮所見、内診などにより、出産(早産)する危険性が高いと考えられる状態のことをいいます。妊娠22週未満の場合は「流産」といいます。
● 原因
  原因は、胎児側と母体側に分けられます。
  


 絨毛膜羊膜炎 卵膜、羊水が細菌に感染し、炎症を起こした状態で、前期破水の原因として、最近注目されています。
 子宮頚管無力症 子宮口が開きやすくなるために起こります。
 子宮の異常
 (子宮奇形、子宮筋腫等)
程度にもよりますが、一般的に流産、早産を起こしやすくなります。
 妊娠高血圧症 母体の血液が子宮や腎臓に行きやすくなり、胎児の発育が良くなるためです。
 母体年齢 高齢である程リスクが高いです。
 喫  煙 胎盤への血液循環の妨げが原因となります。
 母体の疲労やストレス


 多胎妊娠 胎児の数が多いほど母体への負担も大きいため、30週前後から管理入院となるケースが多いです。
 羊水過多症・羊水過少症 どちらも早産を引き起こしやすいといわれています。
 前置胎盤 前期破水や早産を引き起こす原因となります。
● 症状
  
お腹のはり 規則的に子宮が収縮するために生じます。10分間隔より短いと陣痛へと移行する可能性が高くなります。
性器出血 出産時期には、おしるしとして普通にみられるものが、この時期に起きた場合には、早産の可能性があります。
子宮頚管の短縮 子宮が収縮すると頚管が短くなり、子宮を支える力が弱くなるため、早産になりやすくなります。
破  水 破水すると羊水に雑菌が侵入しやすいので、早産を避けることが難しく、破水すると数日で出産することが多いです。
● 治療
  安静が第一です。軽度の場合は、自宅安静でも可能です。軽度の場合、ウテメリン等の子宮弛緩剤服用の薬物療法となります。重症で入院した場合には、持続点滴することもあります。原因が子宮頚管無力症の場合には、頚管の周りをテープまたは糸、チューブを通して縛るという子宮頚管縫縮術(シロッカ法、マクドナルド法)を行います。
  手術自体は短時間で済み、出産時に外します。
● ご契約をいただく際には
  切迫早産の告知がある場合は入院の有無、入院している場合には日数を告知していただいてください。また、手術の有無、治療内容を告知していただいてください。
  死亡保険については特に問題なく加入できるでしょう。医療保険については、入院日数が長い場合や、繰り返している方については、部位不担保での加入も考えられます。また、切迫早産の原因が子宮頚管無力症で、子宮頚管縫縮術をしている方は、次回も入院・手術する可能性が高いので、妊娠可能年齢までは部位不担保での引受となることが考えられます。
  
上田 香十里(かんだ・かとり)
株式会社査定コンサルティング代表取締役
現在、複数の保険専門紙・メディアにて保険医学や告知書の正しい書き方に関する記事を執筆中。近著に「知っておきたい!保険と病気と告知のはなし」(小社刊)、「よくみえる! 医療・先進医療・介護のはなし」(小社刊・共著)がある。また、関連するセミナーを開催、講師としても活躍中。保険会社各社の引受査定支援業務、支払査定支援業務、支払検証、診断書翻訳、関連セミナーなどを行っている。日本アンダーライティング協会会員。日本保険医学会賛助会員。一般財団法人大妻コタカ記念会理事。
http://www.hokensatei.com/
  
2011.11.14
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