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東日本大震災により被害を受けた建物、土地等の評価について
● 震災により被害を受けた土地等の評価方法
  先日、東日本大震災に関連する財産評価に使用する調整率が発表された。震災により被害を受けた土地等の価額について、平成23年1月1日時点における平成23年分路線価によって評価するのは適切ではないため、調整率を用いて評価することとされている。
  具体的には、震災特例法や災害減免法、国税庁が定めた「東日本大震災の発生日以後に相続等により取得した財産の評価について」という法令解釈通達等に基づいて評価することになる。
  まず、東日本大震災発生前に相続等により取得した土地等のうち、相当な被害を受けた地域として財務大臣の指定する地域内にあるものについては、特定土地等としてその取得時の時価によらず、震災後を基準とした価額で評価することができる。評価方法は平成23年分路線価に調整率を乗ずる方法等により評価する。
 震災後(平成23年3月11日から平成23年12月31日まで)に相続等により取得した土地等については、上記の指定地域内にあるものは、調整率を乗ずる方法等により特定土地等に準じて評価することになる。
 なお、津波被害を受けた土地等については、震災による地盤沈下等により海面下に水没しているものもある。このような土地等については、一時的に水没しているものを除き、その土地等の価額は評価しない。
 また、震災により地割れ等が生じた土地等については、震災による物理的損失がないものとした場合の土地等の価額から原状回復費用相当額を控除する方法等により評価する。ただし、被害状況によっては、その原状回復費用相当額が高額になり、評価額がマイナスになる可能性もある。そのような場合には、近傍の純原野の価額に比準して評価するのが相当であるとされている。
● 震災により被害を受けた家屋の評価方法
  震災前に相続等により取得した家屋について、申告期限前に被害を受けた場合には、一定の要件に該当すれば、被害を受けた家屋の価額から被害を受けた部分の価額を控除することができる。
  震災により被災した家屋を震災後に相続等により取得した場合にも、一定の評価減が認められる。家屋の評価は通常、固定資産税評価額に倍率1.0を乗じて行うが、震災により被災した家屋について、被災による評価替えが行われていない平成23年度の固定資産税評価額を使用して評価することは、妥当ではない。
  そこで、このような被災家屋については、固定資産税評価額に地方公共団体が条例により定めた固定資産税の軽減又は免除の割合を乗じて計算した金額を、その家屋の固定資産税評価額から控除した金額を評価額とすることができる。津波による被害や、原発事故の影響により固定資産税が減免されている家屋についても同様である。
  なお、被災家屋について、課税時期までの間に修理、改良等が行われているときは、その修理、改良等に係る費用現価の100分の70に相当する金額を加算する。液状化現象により被害を受けている家屋についても、家屋の原状回復を実施している場合にはこの評価方法となるが、原状回復費用が多額である場合には、被災前の固定資産税評価額を超えることも考えられる。このような場合には、震災発生直前の固定資産税評価額により評価することが認められる。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2011.11.14
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