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さらに充実した「経営セーフティ共済」制度
  中小企業の連鎖倒産を防止するための制度のひとつに、「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)」があります。取引先事業者が倒産し、売掛金債権等の回収が困難になった場合に、無利子・無担保・無保証人で共済金の貸付を受けられるという制度です。
  東日本大震災の影響、円高の進行、原油価格の高騰など、中小企業事業者を取り巻く経営環境が厳しくなっていることを受けて制度の見直しが図られ、平成23年10月1日から貸付限度額や掛金月額の上限が大幅に引き上げられました。
● 最高8,000万円まで貸付
  取引先が倒産した場合は、最高8,000万円まで無利子・無担保・無保証人で貸付を受けられます。主な共済事由は下記のとおりです。
     ・  法的整理手続(破産手続開始、再生手続開始等)
   ・  手形取引停止処分
   ・  私的整理(弁護士等が関与する支払を停止する旨の通知がされていること)
   ・  甚大な災害の発生(東日本大震災の被災)により、受け取った手形の不渡り処分が猶予されていること
   ・  特定非常災害(東日本大震災の被災)により、取引先事業者の代表者等が死亡又は行方不明等となっている場合に、弁護士等によって支払を停止する旨の通知がされていること
● 掛金は月額5,000円〜20万円の範囲で自由に選択
  貸付金の限度額引き上げに伴い、月額掛金も引き上げられ、5,000円から20万円までの範囲内(5,000円単位)で、加入者が自由に選択することができるようになりました。加入後の増額・減額も可能です。また、掛金を12ヵ月以上納付していれば、自己都合の任意解約でも掛金総額の80%以上、40ヵ月以上納付の場合は100%の解約手当金を受け取ることができます。なお、掛金については税法上、法人の場合は損金、個人事業の場合は必要経費に算入することができます。
● 早期償還手当金制度が創設
  共済金を繰上償還により完済し、一定の条件を満たす場合には、「早期償還手当金」を支給する制度が新たに創設されました。早期償還手当金の支給条件は下記のとおりです。
・  繰上償還により当初の約定完済日よりも12ヵ月以上早く完済していること
・  完済日において共済契約を解約(脱退)していないこと
・  繰上償還した共済金貸付契約の償還を一度も延滞していないこと
  例えば、5,000万円の共済金を償還期間6年で貸付を受けて、2年後に、4年前倒しで全額繰上償還を行った場合、早期償還手当金の額は80万円になります。なお、制度改正以前に貸付を受けた共済金については、平成23年10月1日以降に完済し一定の条件を満たしていれば、早期償還手当金の支給対象になります。

  詳細につきましては、独立行政法人中小企業基盤整備機構のホームページをご覧ください。
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/
  
野上 幸彦(のがみ・ゆきひこ)
野上社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士
オーディオメーカー、建設コンサルティング、フードサービス業界での人事・営業職を経験を経て、平成19年に野上社会保険労務士事務所を設立。多業種経験を活かした人事・労務コンサルティングを行っている。
nogami-sr0021@st-paul.gr.jp
  
2011.12.05
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