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平成23年度税制改正がようやく成立
● 平成23年度税制改正は、法人課税関係以外はほぼ見送り
  平成23年度税制改正は、東日本大震災や政治の混迷等の影響により、一部は法案を分離することで成立したが、残りの項目については成立しないまま、この臨時国会を迎えていた。それが、平成23年11月30日に国会で承認され、ようやく成立している(経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律)。
  当初案と大きく異なり、所得税法と相続税法、また国税通則法のうち、納税者権利憲章や新たな税務調査手続の追加に関する部分等は法案から削除され、ほぼ法人課税関係の改正のみが成立した。なお、所得税法、相続税法の改正については、今後の改正で実現するかどうかは今のところ、白紙の状態である(平成23年12月6日執筆時点)。納税環境の整備については、附則に整備に向けた検討に係る規定を追加することとなった。
● 改正項目は、法人税率・減価償却・繰越欠損金など
  かなり月日が経過したため、最終的に何が改正になったのかを再度まとめてみる。主に、中小企業に影響があるものについて、ご紹介していく。
  法人税の税率については原則、普通法人の税率を25.5%(現行30%)、中小法人(一般社団法人及び一般財団法人並びに公益社団法人及び公益財団法人を含む。)又は人格のない社団等の軽減税率を19%(現行22%)とし(注1・2参照)、公益法人等又は協同組合等の税率を19%(現行22%)とされた。上記の改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用される。
注1:   ただし、中小企業者等の法人税率の特例により、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税率については、15%(現行18%)に引き下げられる。
注2:   さらに、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度(課税事業年度)については、各課税事業年度の課税標準法人税額に10%の税率を乗じて計算した金額が復興特別法人税として課税される。
  減価償却制度については、定率法の償却率について、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍(現行2.5倍)した数に改正される。
  青色繰越欠損金等については、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間を9年(現行7年)に延長される。これに伴い、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされる。なお、上記の改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について適用される。
  また、国税通則法においては、納税者がする更正の請求について、請求をすることができる期間を原則として5年(現行1年)に延長することとされた。これに併せて、課税庁がする増額更正の期間制限についても、原則として5年(現行3年)として上記期間と一致させることとなった。
  上記の改正については、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用される。ただし運用上、過年分についても、増額更正の期間と合わせて、納税者からの請求を受けて減額更正を実施するよう努めることとされている。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
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2011.12.12
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