● すべての事業者にストレス検査を義務づける
仕事上のストレスが原因でうつ病などになる人が増えるなか、厚生労働省は事業者に対し、すべての従業員にストレスに関する検査を受けさせるなどのメンタルヘルス対策を義務づけることを決め、先日、第179回国会(臨時会)に改正労働安全衛生法の法律案が提出された。主な内容は、下記にまとめておくが、今後企業側にも大きな負担になることが予測されるので、法律が改正される前から余裕をもって対策をしておきたいところである。
● 企業及び労働者の双方に検査の義務を課しているのがポイント
改正労働安全衛生法の法律案の概要は、以下の3つとなっている。
1 メンタルヘルス対策の充実・強化 |
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医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける。 |
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労働者は、事業者が行う当該検査を受けなければならないこととする。 |
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検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から、労働者に対し通知されるようにする。医師又は保健師は、労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提供してはならないこととする。 |
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検査の結果を通知された労働者が面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付ける。 |
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面接指導の申出をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこととする。 |
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事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。 |
2 型式検定及び譲渡の制限の対象となる器具の追加 |
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特に粉じん濃度が高くなる作業に従事する労働者に使用が義務付けられている電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定及び譲渡の制限の対象に追加する。 |
3 受動喫煙防止対策の充実・強化 |
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受動喫煙を防止するための措置として、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務付ける。 |
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ただし、当分の間、飲食店その他の当該措置が困難な職場については、受動喫煙の程度を低減させるため一定の濃度又は換気の基準を守ることを義務付ける。 |
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庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
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