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納め過ぎた税金が戻る「更正の請求」期間が延長
(平成23年度税制改正)
  平成23年度税制改正に関する法律「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」が、平成23年12月2日に公布された。今回は、そのうち「更正の請求」に関する改正内容についてお知らせする(参照:今週のトピックス2176)。
● 更正の請求期間の延長
  申告書を提出した後で、所得金額や税額などを実際より多く申告していたことに気付いたときには、「更正の請求」という手続きにより訂正を求めることができる。
  この「更正の請求」について、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税につき、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則5年(改正前は1年)に延長された。なお、更正の請求書が提出されると、税務署は調査によりその内容の検討をして、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行い、税金を還付することになる。
  その一方で、税務署から増額更正をすることができる期間についても、3年から5年に延長された。これで更正については増額・減額ともに「5年」と覚えておいてほしい。
● 更正の請求範囲の拡大
  当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置(「当初申告要件」がある措置)のうち、一定の措置(純損失の繰越控除、所得税額控除、配偶者に対する相続税額の軽減など)については、更正の請求により事後的に適用を受けることができることとされた。
  また、控除等の金額が当初申告の際に申告書に記載された金額に限定される「控除額の制限」がある措置について、更正の請求により、適正に計算された正当額まで当初申告時の控除等の金額を増額することができることとされた。
  これらは納税者にとって有利となる改正である。
● 添付義務の明確化と罰則の創設
  更正の請求に際しては、これまで「更正の請求書」に記載するのみであった。しかし、平成24年2月2日以後に行う更正の請求については、その理由の基礎となる「事実を証明する書類」の添付が必要となるので、ご注意いただきたい。
  また、内容虚偽の記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が設けられた。こちらも、平成24年2月2日以後に行う更正の請求から適用される。
● 更正の請求期間を過ぎた課税期間について
  これまでは、更正の請求期間を過ぎると、「嘆願書」として税務署長に非公式にお願いするしかなかった。
  しかし、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、増額更正ができる期間内に新しい様式である「更正の申出書」の提出があれば、調査によりその内容を検討し、納めすぎた税金があると認められた場合には、減額の更正を行うこととされた(申出のとおりに更正されない場合であっても、不服申立てをすることはできない)。
  なお「更正の申出書」は、増額更正ができる期間が対象となるので、注意していただきたい。

参照:国税庁「更正の申出書」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/kosei_proposal/mokuji.htm
  
今村 京子(いまむら・きょうこ)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。
マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/
  
2011.12.19
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