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特定事業用資産の買換特例のうち、9号特例は大幅縮小
● 平成23年度税制改正で期限延長されなかった9号特例
  12月10日に閣議決定された「平成24年度税制改正大綱」の中に、いわゆる「特定の事業用資産の買換え等の場合の特例」について、大幅な縮小が盛り込まれた。
  この特例は、個人又は法人が、事業の用に供している特定の資産を譲渡して、一定の買換資産を取得した場合、要件を満たせば、譲渡益の約80%の課税が繰り延べられる制度である。
  買換えの種類については、既成市街地等の内から外への買換えなど、合計18種類が規定されていたが、今年6月に成立した平成23年度税制改正の一部において、買換態様の大幅な見直しが行われた上で、適用期限が平成23年12月31日から平成26年3月31日まで、3年延長された。ただし、所有期間が10年を超える事業用の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換え、いわゆる9号特例については、その延長対象から除外され、適用期限は平成23年12月31日のままだった。
● 買換土地に、「事務所用」と「300u以上」という2つの制限
  平成24年度税制改正において、その9号特例の適用期限が延長されるかどうかが注目されていたが、結果は「条件付き」の期限延長となった。具体的には、買換資産の対象となる土地について、「事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されているもののうちその面積が300u以上のもの」に限定されることとなった。
  ここでのポイントは2つある。1つは、「事務所等の一定の建築物等の敷地の用に供されている」というところである。この特例での事業用資産というのは、事業に準ずるものも対象になるため、例えば不動産の貸付けなどの場合で、事業といえるほどの規模ではないものの、相当の対価を得て継続的に行われているものについては、対象となる。ただし、「事務所等の一定の建築物等の敷地」という要件がつけば、個人資産家の場合、この特例を使えなくなるケースが増えるだろう。
  もう1つのポイントは、「300u以上」である。こちらについても、今後この特例を使うには、ある程度の広さが求められることとなるため、中小企業、個人資産家などで、この特例の対象外になるケースが出てくるものと思われる。
● 改正は遡及適用の可能性
  この改正は、大綱では「適用期限を3年延長」と表現されているため、正確にはわからないが、税制改正法案が3月に可決しても、適用は1月からの遡及適用となる可能性がある。仮にそうだとすれば、現在、この特例の適用を検討されていても、資産の売却が来年にずれこみ、改正後の要件を満たさない場合には、多額の税金が課税される恐れがある。該当する方は、十分に注意して頂きたい。
  なお、今回の内容はまだあくまで大綱の段階であり、国会で可決されるまでは変更の可能性もあるため、ご留意頂きたい。
  
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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2011.12.27
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