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2011年度国税・地方税の税制改正法案を国会に提出
● 国税関係は税制改正法案を1月27日に国会提出
  政府は1月27日、2012年度税制改正を盛り込んだ「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日、国会に提出した。
  概要は、個人所得課税では、住宅ローン減税の拡充(認定省エネ住宅の特例の創設)、給与所得控除に上限を設定(給与収入1500 万円超は一律245万円)、特定支出控除の支出範囲の拡大及び適用判定基準の緩和(給与所得控除の総額⇒2分の1)、勤続年数5年以下の法人役員等の退職金の2分の1課税を廃止、などがある。
  法人課税では、研究開発税制の増加額等に係る税額控除制度の延長(2年延長、以下「同」と記載)、交際費等の損金不算入、使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例(同)、中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用(同)、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(同)、環境関連投資促進税制の拡充(太陽光・風力発電設備に係る即時償却制度の創設)などがある。
  資産課税としては、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額(現行 1000 万円)を拡充するなど、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充・延長(3年延長)、山林に係る相続税の納税猶予制度の創設など。
  国際課税では、国外財産調書制度の創設(5000 万円超の国外財産を保有する個人が提出)、グループ間の利子を利用した租税回避へ防止策に過大支払利子税制を導入、などがある。
  消費課税では、自動車重量税の「当分の間税率」の見直し及びエコカー減税の拡充・延長(3年延長)、「地球温暖化対策のための税」の導入(石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せ)、石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の免税・還付措置の延長(当分の間)などがある。
  そのほか、入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限の1年延長などが盛り込まれている。
● 地方税法等一部改正案は1月31日国会に提出
  また、「地方税法等の一部を改正する法律案」は、政府が1月31日に閣議決定、同日国会に提出した。その概要は、福島復興再生特別措置法案(仮称)の策定に伴う新たな支援策として、避難等の指示が解除されていない区域内の土地及び家屋に係る固定資産税等の課税免除措置を2013年度以後も継続、課税免除区域から除外された区域の固定資産税等の減額措置を、原則3年度分とし、2013年度以後当分の間、各年度に除外された区域にも適用する。
  住宅・土地税制は、新築住宅に係る固定資産税の減額措置を2年延長、不動産取得税の住宅及び土地に係る税率の特例措置(4%→3%)及び宅地評価土地(住宅用地・商業用地)に係る課税標準の特例措置(2分の1)を3年延長(2012年度〜2014年度)、固定資産税等(土地)の負担調整措置は、原則として、現行の仕組みを3年延長(2012年度〜2014年度)、また、住宅用地特例(特例割合1/6等)は2014年度に廃止する。
  自動車税制については、自動車取得税における「エコカー減税」を再編する。いわゆる「エコカー減税」について、最新の燃費基準に切り替えを行うとともに、環境性能に極めて優れた自動車の負担軽減に重点化し、3年延長(2012年度〜2014年度)する。また、一定の先進安全自動車(ASV)及び一定のバリアフリー車両の取得に係る課税標準の特例措置を創設する(2012年度〜2014年度)。
  税負担軽減措置等では、固定資産税等の特例措置について、再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の課税標準の特例措置を創設する(2012年度、2013年度)。図書館、博物館、幼稚園を設置する一般社団・財団法人(特例民法法人から移行した一定の法人)に係る固定資産税等の非課税措置などを追加した。
  そのほか、軽油引取税の課税免除の特例措置の原則3年延長などが盛り込まれている。これらの施行は2012年4月1日を目指す。
  
浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍「生命保険法人契約を考える」
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html
  
2012.02.13
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