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子ども手当対象者の11.2%が未申請、100万人超が受給漏れに?
● 申請期限は3月末まで
  厚生労働省は、2011年10月分以降の子ども手当について、受給のための手続をしていない人が推計で11.2%いると発表した。支給申請の対象となる全国1,720万人の子どものうち、未申請が100万人を超える可能性があるということで大きな問題となっている。

出典:いずれも厚生労働省ホームページから
「子ども手当の申請状況と申請周知の取り組み」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000022o7n.html

  この状況を受けて各メディアもこの問題について多数取り上げ、受給漏れの可能性がある人たちに申請を促しているが、これだけ多くの人が未申請となると2012年3月末までの申請期限に間に合わない人もたくさん出てくるのではないだろうか。
  現時点で未申請の人であっても、3月末までに申請すれば10月分に遡って半年分の子ども手当を受給できるので受給対象者に広く呼びかけていく必要がある。
● 2011年10月以降の子ども手当は制度が変更になったため申請が必要
  未申請の人がこれだけ多い理由は、受給要件が変わったことで受給対象者のすべてがあらためて市町村に申請の手続をしなければならなくなったことによる。2010年に旧児童手当から移行したときは申請しなくても受給できたのに、今回については必ず申請しないと受けられない。これが未申請の大きな原因になっているのではないかと思われる。

出典:「10月からの子ども手当Q&A」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/dl/h23_qa.pdf

  また、仕事や子育てその他の事情で役所に申請に行くことができない人もいれば、テレビや新聞などを見ない人も多く、情報が届いていない可能性もある。メディアだけでなく各自治体がもっと広報活動に力を入れることも大切だが、受給対象となっている方自身もきちんと振り込まれているか通帳を確認してみる必要がある。
● 子ども手当は、2012年4月以降どうなるのか?
  2010年4月分より支給開始された子ども手当は、その後紆余曲折があり、東日本大震災の復興財源の確保という観点から2011年10月以降分については支給額及び法律名を変更したうえで2012年3月まで子ども手当を継続することとなった。
  気になるのは2012年4月からのことだが、政府は現行の子ども手当に代わる「子どものための手当」を2012年度に創設する内容を盛り込んだ児童手当法改正案を1月27日に閣議決定している。

出典:「児童手当法の一部を改正する法律案(平成24年1月27日提出)概要」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/180-06.pdf

  大きく異なる点は、子ども手当は所得水準に関係なく給付しているが、新しい手当制度では所得制限があるということである。改正案では所得制限の対象世帯は、夫婦と子ども2人なら年収960万円以上などと定められている。最終的にどのような制度となるのか、今後の国会での審議にも注目していきたいところである。
対象       /      月額 所得制限額未満である者 所得制限額以上である者
 3歳未満 15,000円 5,000円
 3歳以上小学校修了前(第1子・第2子) 10,000円
 3歳以上小学校修了前(第3子以降) 15,000円
 中学生 10,000円
※ 所得制限額は、960万円(夫婦・子ども2人世帯)を基準に設定(政令で規定)し、平成24年6月分から適用する。
  
庄司 英尚 (しょうじ・ひでたか)
株式会社アイウェーブ代表取締役、庄司社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 人事コンサルタント
  福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。
公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/
  
2012.03.05
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