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私立大学入学者の初年度学生納付金の状況について
  今年の受験シーズンもそろそろ大詰めを迎えている。受験生にとって最も大切なことは、もちろん合格を勝ち取ることだが、保護者にとっては合格発表後に必要となる入学のための費用負担も大きな関心事に違いない。今回は文部科学省が毎年発表する「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果について」の平成22年度の調査結果から、私立大学に入学した場合の初年度に必要となる納付金の水準を見ていきたい。
● 私立大学入学者の平均合計額は、1人当たり平均約132万円
  ここでいう「初年度納入額」とは、授業料、入学料、施設設備費の合計額で、全学部の平均の合計額は約132万円、対前年0.3%の増加とほぼ横ばいとなっている。直近5年間の推移を見ても似たような傾向が見られ、ここしばらくは水準の変化はほとんどない。
  学部別に見てみると、医歯系学部は約489万円で、文化系学部約116万円の4倍以上、理科系学部約150万円の3倍以上と大変高い水準となっており、世間でよく言われている「医歯系の学部に行くとお金がかかる」ということを裏付けた結果となっている。学部別の結果は以下の通り(この調査結果では学部の区分を、文化系学部、理科系学部、医歯系学部、その他学部の4つに分類している)。
平成22年度入学者の調査結果
区分 授業料(年間) 入学料 施設設備費 合計 増減率
文科系学部 742,189円 252,307円 160,822円 1,155,318円 0.3%
理科系学部 1,041,643円 268,709円 191,480円 1,501,833円 0.1%
医歯科学部 2,982,058円 1,024,762円 885,828円 4,892,648円 △1.8%
その他学部 941,917円 277,041円 245,268円 1,464,227円 0.1%
全平均 858,265円 268,924円 188,477円 1,315,666円 0.3%
  * その他学部:家政、芸術、体育・保険
● 国立大学との比較では?
  一方、国立大学の授業料および入学料については、その標準額が「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」によって定められており、その一定の範囲内で各大学がそれぞれ定めることとなっている。省令による標準額は、授業料が535,800円(年間)、入学料は282,000円(ともに夜間部や特別な学部等については別途金額)と定められている。入学料の水準は私立大学の平均値とそれほどの違いは見られない(むしろ高い)ものの、毎年の授業料について私立大学との差は歴然としている。
  とはいえ、国立大学の場合でも初年度納入額として最低でも授業料と入学料の合計額約82万円が必要であり、掛け持ち受験で複数の大学に合格し、双方に入学料を払わなくてはならない場合もあるなど、保護者はさらに大きな負担を強いられることとなる。
● やはり、教育資金の計画的な準備が重要
  ここでは、大学に入学するために必要な費用だけを取り上げてみたが、当然、受験準備のための費用もすでに保護者は負担しており、さらには親元を離れて下宿するような場合には、それなりの生活費の仕送りも発生する。このように見ていくと、子どもが不自由なく教育を受けさせるためには、やはり計画的な教育資金の準備が必要であるということを、改めて感じざるを得ない。

参考資料:
文部科学省
「私立大学等の平成22年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1314359.htm
文部科学省
「平成22年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2011/12/26/1314359_01.pdf
2012.03.05
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