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外貨建てMMFを活用する
  エンロンショックは、安全性が高いといわれているMMFであっても、投資信託である以上、元本保証がないことを改めて個人投資家に認識させる結果となった。不況による企業倒産の増加は、必然的にMMFのリスクを高め、このような元本割れという事態は今後も発生する可能性がある。そのため従来のように、定期預金などと比較して単に利回りが高いという理由でMMFを購入する安易な資産運用スタイルは、根本的に見直す必要がでてきた。例えば、エンロンショックのような影響を極力避けながら、効率よく資産運用を行うための対策としては、次のようなものがある。
対策1:高い格付けを取得しているMMFを選ぶ。
対策2:ほかのMMFと比較して、著しく高い実績をあげているMMFは極力避ける。
対策3:MRFに資金をシフトする。
対策4:格付けの高い外貨建てMMFへ資金をシフトする。

MRF(マネー・リザーブ・ファンド):証券総合口座用ファンド
  中でも最近注目されているのは、対策4である。その理由は対策1〜3が、国内資産同士の資産シフトであるのに対し、対策4は国内資産を外貨建て資産へシフトする、いわゆる通貨分散の要素が含まれた対策だからである。「外貨建てMMF」と「日本のMMF」では、商品性においてかなり相違点があり、まったくの別物と考えたほうがよい。それらの相違点を、外貨建てMMFのうちもっとも広く普及している米ドルMMFで検証したのが以下の一覧表である。
 
日本のMMF
米ドルMMF
組入銘柄への
制限など
投資銘柄の信用度、残存期間に明確な制限はない。
投資対象の信用度、残存期間には、一定の制限が設けられている。
格付け取得の
現状
格付け会社から格付けを取得しているものは少ない。
組入銘柄の信用度・残存日数に応じ格付けが行われる。格付け会社から格付けを取得しているものが多い。
購入・換金時
の制限
日本の営業日のみ影響を受ける。
日本だけでなく、委託会社・受託会社の国の営業日にも影響を受ける。
手数料など
30日未満の解約は、10,000円につき10円の解約手数料が必要。それ以降は不要。
購入・解約時に所定の手数料が発生(米ドルMMFなら1ドルにつき片道50銭が一般的)。
  一覧表でもお分かりのように外貨建てMMFは、組み入れ制限が明確化されていることで信用リスクを極力抑えている。つまり、対策4はあいまいな基準のもと運用されていた自分の財産を、「組み入れ銘柄の制限」や「格付け取得」など、十分な情報開示と明確な運用ルールがある資産へシフトさせる対策といえる。
  当然、為替リスクが伴うため、円高になれば円建て換算した元本を割り込む可能性があることを顧客に認識してもらうことが前提となるが、信用リスクを無視できない時代だからこそ、対策4のように明確なルールを設けている商品で運用することも選択肢の一つといえる。
2002.01.08
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