>  今週のトピックス >  No.345
インターネットのUG(アンダーグラウンド)  ポルノ
  インターネットのアンダーグラウンド問題としてもう一つ大きな問題はポルノだ。特に無修正もの「裏モノ」と呼ばれる類のものがある。サイト上では以前から画像も含め問題になっていたが、特に営利の場合は、国内法が及ばないように海外にサーバーを置いて行うものが多く、動画サービスも少なくない。
  個人がボランティア的に行う場合は摘発リスクの大きいサイトより、もっぱらファイル交換ソフト(WinMXなど)だ。そして現在はブロードバンド化に伴い、焦点は動画に移っている。WinMXで「URA」、「裏」、「無修正」などのキーワードで動画ファイルの検索を行うと、大量にリストアップされてくる。Napsterに代表されるファイル交換ソフトは、もともと音楽愛好家を中心に発展してきたが、ここにきてポルノ愛好家のユーザーが急増している。著作権問題も裏モノに関しては適応されない。ただし、猥褻物陳列罪に問われる可能性がある。
  海賊版音楽ファイルと同様にポルノ関連ファイルの交換は、どんな規制を行ってもなくなることはないだろう。多くのユーザーも、人間の自然な本能として罪悪感を持つことはあまりないと思われる。それでも問題になってるのは、幼児ポルノだ。
  WinMXで、ポルノ動画を持っているユーザーの共有ファイルを覗いてみると「ロリータ画像」、「ロリ動画」などと記しているファイル名が見つかる。中・高校生どころか「小学生の○○」と書かれたものまであり驚かされる。海外ユーザーの場合でも「teen sex」、「pre teen」などのファイル名に記してやり取りされてるようだ。
  以前、ファイル交換ソフトのユーザーが利用する掲示板でも論争が起きていた。「通常のポルノとは違う。幼児に発情するなんて人間として最低」、「製作者やそんなものに出演させてる親はどんな人間なのか」、「幼児ポルノ問題でファイル交換ソフトにより強い規制がかからないように祈る。ユーザーはマナーと節度を持ってほしい」という趣旨の「良識派」の声が多かったが、一方で「ファイル交換ソフトそのものがアナーキー。きれい事を言うな」という意見もあった。
  幼児ポルノは国際的にも大きな問題になっており、ポルノ解禁の国でも規制を強化している。日本では国際的な圧力もあって、1999年5月18日に「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が成立し同年11月1日に施行された。 実際この年、日本で盗聴法を成立させる際の推進側の一つの理由付けとしても、児童ポルノ問題は利用された。
  インターネット専門の弁護士で児童ポルノ反対サイト『サイバーエンジェルズ』の運営者であるパリー・アフタブ氏の2000年8月の発言によれば、その時点では「1日に70のサイトが新しく見つかっている」ということだった。先に述べたWinMXなどのように、現在は交換手段が多様化している。摘発を逃れるために、検索のための中央サーバーを必要とせず個人を特定化しにくいGnutellaというファイル交換ソフトを使ったり、わざわざFTPサーバーを独自に立てて行っている愛好家もあるようだ。
  法的な犯罪の概念は、時代や国や社会環境の違いとともに変化するものだが、法以前の倫理やマナーがインターネット社会では大きなテーマとなっている。
2002.01.16
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