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長期入院は敬遠される?  ―診療報酬の改定―
  23日に厚生労働省は「医療の公定価格」である診療報酬(1点=10円)の改定案を、中央社会保険医療協議会(中医協)に提示した。この方針に基づき中医協では今年3月まで検討し、4月から新価格表とする予定である。
  今回改正となる主な骨子は、小児入院医療の報酬引き上げと、6カ月以上の長期入院の場合の引き下げである。昨年末、診療報酬については総枠で1.3%引き下げることが決まっているが、小児科については少子化で経営が厳しくなっているため、特に配慮して入院基本料を引き上げることとした。
  一方、医療費増加の要因ともなっている長期入院(6カ月以上)については、診療報酬を引き下げるとともに患者の自己負担を増やす。
  医療技術の進歩とともに、入院期間は全体的に短期化の傾向(表1)にあるが、高齢になるにつれ入院日数も長くなり医療費を押し上げている(表2)。
  また、末期患者に高額な点滴や高度先進医療を施すなど、高額医療費が増加している。こうした状況に対応した今回の改定方針であるが、今後は長期入院患者を多く抱える医療機関ほど採算が厳しくなる。入院が長引くほど病院にとっては相対的に減収となるため、本当に治療が必要な患者まで転院させられたり、在宅医療として退院させられたりする可能性がある。近くに適当な病院がなかったり、在宅医療が困難な過疎地域においては厳しい現実である。
(表1) 施設の種類別にみた退院患者平均在院日数の年次推移

厚生労働省「平成11年患者調査」


(表2) 傷病分類別にみた年齢階級別退院患者平均在院日数

厚生労働省「平成11年患者調査」
2002.02.05
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