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日本人、50年後に1億人?
  厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、50年間にわたる長期的な日本の人口動向を予測した「将来推計人口」(5年ごとに発表)を平成14年1月30日に発表した。これによると5年前の推測数値が大幅に変更になっており、少子・高齢化のスピードは5年前よりもさらに速まっている。出生率は、長期的に1.39どまりで、前回推計値の1.61に比べ0.22ポイントダウンした。2000年の国勢調査によると日本の人口は、1億2,693万人であったが、2006年がピークとなり(1億2,774万人)、その後暫時減少して、2050年にはついに1億人(1億60万人)となってしまう。(低位推計では、1億人の大台割れとなり9,203万人)
   日本の人口ピラミッドは、戦前は富士山形のきれいな三角形であったが、その後何回かの凸凹(出生の急増減)があり、最近では釣り鐘型に変わってきている。昭和22〜24年の出生数の急増(第一次ベビーブーム:「団塊の世代」)と昭和25〜32年の出生数の急減(ベビーバスト)により、年齢層の高い部分で凸凹となっている。2000年の人口ピラミッドは、団塊の世代が50歳代の前半、団塊ジュニアの世代が20歳代後半になっている。2050年には団塊ジュニアの世代が高齢者になり、超高齢化社会が現実のものになっている。そのため、人口ピラミッドは、高齢者が圧倒的に多いツボ型に変わっていることだろう。
  この急ピッチな少子・高齢化は、社会保障制度(公的年金、健康保険など)や教育システム、労働力の確保(女性、外国人労働者)など日本の社会的インフラの整備や経済社会システムの大幅な見直しを求めることになる。5年前の人口推計に基づく数値で年金財政を考えていた公的年金はその最たるもので、厚生労働省は対策に苦慮している模様である。
  従属人口指数は、現在47%だが、2022年(平成34年)には67%の水準に達し、2050年(平成62年)には87%に達するものと予測されている。また、老年(65歳以上)人口は、全人口の35%を超え、20歳以上の現役世代1.5人で1人の高齢者を支えていることになる。このままだと年金財政の破たんは時間の問題で、これから公的年金の保険料のアップや給付額の減額などが論議されるものと思われる。
  この問題解決のためには、出生率の大幅改善が必須で、若い世代が経済的にも社会的にも安心して子どもを産んで育てられる社会の実現が必要となっている。子どもを産みたいという女性の意識が、出生率の改善に大きく影響している。高齢化社会での老年人口(特に後期老年人口)は、圧倒的に女性の方が多く、老後生活における経済(公的年金、預貯金等)、健康(健康・介護保険など)、心(生きがい、社会とのかかわりなど)のいわゆる「3K問題」は女性の方がより深刻な問題ともいえる。高齢化社会のキーワードは、女性かもしれない。
【人口・年齢3区分】
国立社会保障・人口問題研究所では、日本人を年少(0〜14歳)・生産年齢(15〜64歳)・老年人口(65歳以上)の3つに区分している。(老年人口のうち75歳以上を後期老年人口としている)

【従属人口指数】
生産年齢人口の扶養負担の程度をあらわすための指標
その内訳に老年従属人口指数(老年人口を生産年齢人口で除した数値)と年少従属人口指数(年少人口を生産年齢人口で除した数値)がある。
2002.02.12
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