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平成14年2月末に政府が国会へ提出した医療保険制度改革関連法案が注目を集めている。改革関連法案の中には、会社員の健康保険における自己負担割合を3割へ引き上げる要綱が、さまざまな調整を経て盛り込まれている。また、健康保険組合を持たない企業の従業員が加入している政府管掌健康保険を、今後5年以内に組織形態を見直すことなども、同案に含まれている。
なかでも70歳以上(寝たきりの場合は65歳以上)が全員加入する高齢者医療制度(老人保健)に関する改革関連法案は、今後大きな話題を集めそうだ。現行の高齢者医療制度は、次の通りである。
外来月額負担上限 |
入院月額負担上限 |
入院時食費 |
病院(病床数200未満) もしくは診療所 |
3,000円/月 ※定額負担制の診療所 800円/日・月4回まで |
一般 37,200円
低所得者 24,600円
低所得者・老齢福祉年金受給者
15,000円
長期特定疾病患者 10,000円 |
原則780円/日 |
特定病院(病床数200以上) |
5,000円/月 |
また、今回提出された高齢者医療制度における改革関連法案をまとめると、次の通りである。
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外来月額負担上限 |
入院月額負担上限 |
入院時食費 |
高所得者(年収約630万円以上) |
40,200円/月 |
72,300円+1% |
原則780円/日 |
一般(年収約630万円未満) |
12,000円/月 |
40,200円+1% |
住民税非 課税世帯 |
年収130万円以上 |
18,000円/月 |
24,600円 |
年収130万円未満 |
18,000円/月 |
15,000円 |
今回の医療保険改革関連法案では、従来のように病床数の規模で医療費負担を分けるのではなく、高齢者の所得によって負担額を区分するのが特徴といえる。現行の制度は、規模の小さい病院や診療所を保護する意味合いが強かったため、今回のように所得で区分するという考え方は、社会保障という健康保険制度の主旨に合致しているといえる。
しかし、実施されるとなれば一般の70歳以上世帯のケースでは、外来の月々の負担上限額が2.4倍(現在の診療所受診の負担と比較した場合は4倍)となり、入院に関しても月々3,000円の負担増となってしまう。高齢者医療制度の改革関連法案は難問が多く、今後の調整が難航するのは必至である。それでもあえて改革関連法案が提出された理由は、以下の3点を改めて国民や高齢者に認識してもらいたいという政府の意向がうかがえる。
(1) |
現在の高齢者医療制度が限界に達していること |
(2) |
高齢者医療制度の財政難がかなり深刻化していること |
(3) |
高齢社会に備え高齢者自身も自助努力が必要になってきたこと |
しかし、実施されるとなれば一般の70歳以上世帯のケースでは、外来の月々の負担上限額が2.4倍(現在の診療所受診の負担と比較した場合は4倍)となり、入院に関しても月々3,000円の負担増となってしまう。高齢者医療制度の改革関連法案は難問が多く、今後の調整が難航するのは必至である。それでもあえて改革関連法案が提出された理由は、以下の3点を改めて国民や高齢者に認識してもらいたいという政府の意向がうかがえる。
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