本年4月のペイオフ解禁により、定期性預金などは金融機関が経営困難に陥ったような際、1,000万円までの元本とその利息しか保証されなくなる。こうした中にあって、これまで国債にあまりなじみのなかった個人も、国が償還と利払いを保証する「安全確実性」、さらに期間によっては定期預金より高い利回りが得られる点などが魅力と映り、定期預金の代替として国債に注目しているという。しかしながら、定期預金と国債とは似て非なるものであり、国債購入にあたってはその違いを理解することが重要である。そこで、下表に両者の相違点をまとめてみた。
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国債(利付債) |
定期預金 |
(1)満期時に戻る金額 |
額面金額が戻る (満期償還) |
預入れ元本が戻る |
(2)付利方法 |
固定金利 単利(半年ごとに利払い) |
固定金利が多数を占める 単利商品および複利商品 |
(3)利息に対する課税 |
利払いのたびに 20%の源泉分離課税 |
単利商品は利払いのたびに
満期時利息一括受け取り複利商品は満期時に20%の源泉分離課税 |
(4)満期前の換金 |
時価で換金できる |
普通預金の利率が適用されるが元本は保証 |
(1)については、両者とも一定期間後あらかじめ決まった金額が戻ってくる点は同じである。なお、国債の購入価格は必ず額面金額とは限らないため「元本が戻ってくる」わけではないが、新規に発行される国債(新発債)の購入価格はおおむね額面近辺となる。
(2)については、定期預金が複利商品も選べるのに対し、国債は単利のみとなっている。従って、利息相当額を生活費にあてるなど、利息の使途が決まっていれば問題はないが、利息の再投資を考える場合には、定期預金などの複利商品と異なり再投資分の利回りが保証されているわけではない点に留意が必要であろう。
(3)については、国債が利払いのたびに課税されるのに対し、定期預金の満期時利息一括受け取り商品では、利息が満期時に一括して課税されるため、この点では後者の方が有利となる。
(4)については、国債と定期預金の最大の違いでもあり最も注意が必要な部分といえる。国債の満期前の換金は時価であり、購入時より金利が下がれば価格は上がり、金利が上がれば価格は下がるという関係になる。従って、今後の金利動向によっては、中途換金した場合、購入時より高く換金でき売却益が得られる可能性がある。加えて売却益は非課税という魅力もある反面、購入時より安く換金され売却損を被る可能性もある。つまり、満期まで保有しない場合は、価格変動リスクがあるのが国債のポイントである。
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以上見てきた通り、国債は定期預金と類似した部分もあることは確かだが、大きく違う点もあるため、利回りのみで判断することなく、資金の性格を踏まえて投資することが必要である。
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