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「主な収入が恩給・年金」のみの世帯が大幅に増加
〜平成12年国勢調査より〜
  総務省統計局発表の「平成12年国勢調査抽出速報集計結果」によると、高齢者のみの世帯の増加に伴い、「主な収入が恩給・年金の世帯」は平成2年の482万世帯から平成12年には907万世帯と、10年間で88.2%増の大幅な伸びを記録した。都道府県別に増加率を見ると、トップの埼玉県(154.9%)を筆頭に、以下、千葉県(140.7%)、愛知県(126.6%)と大都市およびその近辺の都府県で大幅に増加していることが分かる。これは地方の場合には農業などの収入があるのに対し、大都会では高齢者の働く場がなかなか確保できないことが原因の一つとみられる。(図表参照)
  高齢者の経済的な状況については、全世帯の平均水準を100とした場合、世帯主が65歳以上の世帯の年間収入は76.95であるが、世帯人数当たりでは102.48となり、平均的には高齢者は現役世帯と比較しても大差のない収入があるものと考えられる。(総務省統計局「平成11年全国消費実態調査」)
  また、65歳以上の貯蓄現在高は2,739.4万円と、50〜54歳の1,574.9万円を大きく上回り、高齢者の経済力は平均値で見る限り現役世代を上回っている。しかし、高齢者の経済的状況はさまざまであり、所得の格差は高齢者世帯では一層顕著であると考えられる。例えば、夫婦のみの世帯で公的年金・恩給の1世帯あたり平均所得金額は256.8万円、月平均21.4万円となっている。(厚生労働省「平成12年国民生活基礎調査の概況」)公的年金や恩給のみの収入では、ゆとりある生活はとうてい期待できないといえよう。
  また、所得の格差を表す「ジニ係数」(ある社会の分配の不平等性を表す指標で、この値が高いほど不平等の度合いが高いことを示す)も、全世帯では0.3188であるのに対し、高齢者世帯では0.3799と高くなっている。従って、高齢者世帯は「持てる者」と、「持たざる者」との差が際立っており、「主な収入が恩給・年金」のみの世帯の増加は、こうした傾向に拍車がかかっていることを示唆しているといえる。
【恩給・年金が主な世帯の増加率(平成2年〜12年)】
2002.03.19
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