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公示地価、11年連続の下落
  3月25日、国土交通省は平成14年1月1日時点の土地の価格(公示地価)を発表した。公示価格が最高を記録した平成3年に比べ、住宅地は36.0%、商業地は62.0%下落している。バブル期に土地・建物を購入したサラリーマンは、地価下落により担保価値が下がり、担保割れを起こしているためローンの借り換えが難しく、その後遺症に苦しめられている。優良債権に位置付けられていた住宅ローンだが、最近では短期間でも滞るとすぐに不良債権とされ、銀行が土地・建物を差し押さえて競売で処分するという。
  今年の春闘では、ベースアップどころか定期昇給も難しい企業がほとんどで、中には賃金カットという企業まである。バブル期に給料の右肩上がりを前提にした住宅ローンを設定している人は、ローンの支払いが困難な状況に陥っている。賃金カットをした某企業では、社員に対し融資をして救済するという対策をとっている。しかし、ローンの部分的な肩代わりにすぎず、根本的な問題解決を先送りしているにすぎない。
  土地には「一物四価」といわれるさまざまな価格がある。今回発表された公示地価では調査対象を拡大したため、その高額地価の場所が大幅に変動している。9年間にわたって日本一の土地の値段で有名だった「ギンザコマツビル」が8位に転落し、「丸の内ビルディング」(一坪6,000万円強)が日本一になっている。再開発で近年何かと話題になっている丸の内周辺の土地が高くなっているのが目立つ。高額地価10地点の1〜7位はすべて新顔で、高額地価の連続性は、今年は途絶えたといえる。
  府県別でみると、横ばいだった鳥取県ただ1県を除き、軒並みマイナスとなっており、土地価格の下落による資産デフレが加速している。収益性、利便性によりその価格差は顕著で、今後は利用価値を考えて必要な土地を取得することがより重要になってきた。
◆土地の値段 【一物四価】
時価
(実勢価格)
実際に土地が売買される時の価格
需要と供給で決まる
 
公示価格
(公示地価)
公共用地の取得に利用する価格
国土交通省が発表
毎年公示
(毎年1月1日時点)
路線価
相続税・贈与税を課税する時の基準となる価格
国税庁が発表
毎年評価替え
(毎年1月1日時点)
固定資産税評価額
固定資産税を課税する時の基準となる価格
3年ごとに総務省が発表
3年に一度洗い替え
(基準年度の前年1月1日時点)
 *その他「基準値標準価格」も一般の土地取引の指標として公表されている。
  毎年公表(毎年7月1日時点) 
◆商業地の高額地価10地点  <1平方メートル当たり>
順位 地点 価格
1 丸の内「丸の内ビルディング」 1,870万円
2 丸の内「新住友ビル」 1,480万円
3 銀座「山野楽器銀座ビル」 1,480万円
4 大手町「東京サンケイビル」 1,400万円
5 新宿「三井住友銀行新宿ビル」 1,390万円
6 銀座「ソニービル」 1,380万円
7 丸の内「住友信託銀行東京ビル」 1,360万円
8 銀座「ギンザコマツビル」 1,340万円
9 丸の内「東京商工会議所ビル」 1,330万円
10 新宿「新宿高野第二ビル」 1,290万円
(国土交通省 平成14年調べ) 

◆住宅地の高額地価5地点  <1平方メートル当たり>
順位 地点 価格
1 千代田区五番町12-6 214万円
2 港区赤坂1-14-11 178万円
3 千代田区三番町6-25 165万円
4 千代田区1番町16-3 162万円
5 千代田区九段北2-3-25 160万円
(国土交通省 平成14年調べ) 
2002.04.09
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