>  今週のトピックス >  No.393
みずほ銀行の誕生で金融業界の再編成がいよいよ本格化
●国内の銀行は4つのメガバンクに統合
  平成14年4月1日、みずほフィナンシャルグループである第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が再編され、個人・中小企業向けの「みずほ銀行」と、大企業・海外向けの「みずほコーポレート銀行」に生まれ変わった。みずほ銀行の個人の預かり資産残高は34兆円と国内1位を誇る。同じく再編された三井住友銀行、UFJグループ、三菱東京フィナンシャル・グループと合わせて、日本国内では4つのメガバンク(巨大銀行)が形成されたことになる。同様に、平成14年4月からは東京海上火災保険と日動火災海上保険が持ち株会社「ミレアホールディングス」を設立し経営統合を図るなど、金融業界の再編成が本格化してきた。ペイオフ解禁も始まり、これからの1年は金融界にとって大激動の年になりそうである。
●開業初日からシステムトラブルが頻発
  世界有数のメガバンクとなったみずほ銀行だが、開業初日には大規模なATMのトラブルに見舞われ、終日対応に追われた。他行のカードで引き出しや振込ができなくなったほか、現金を引き出していないにもかかわらず、残高が減るなどのトラブルも確認されている。実はみずほ銀行のシステムトラブルは、開業前からその可能性が指摘されていた。2年前にみずほフィナンシャルグループが誕生した際、新銀行の人事をめぐる問題で3行が主導権争いを繰り広げたため、システム統合にかける時間があまり取れず、完全にシステム統合ができない状態で見切り発車した結果、開業初日に大混乱を招くことになってしまった。加えて年度の変わり目と重なり取り引きが集中したことも、システムダウンの一因のようだ。
●巨大金融機関の再編に課題を残す
  あまりの不手際に、柳沢金融相や塩川財務相も「信じられない」といった調子で厳しい批判を投げ掛けているが、預金者の間にも同行に対する不信感が広がっている。平成14年4月からのペイオフ解禁で金融機関への視線が厳しくなっている中で、今回の痛手は大きい。システムの完全統合は1年後の予定であるため、再びトラブルが発生する可能性もある。巨大銀行が金融業界で生き残るために行った再編が、結果的に内部の主導権争いを招き、システムを混乱に陥れ、預金者に不安を与え、結果として自分の首を締めかねない事態になってしまった。今後また、大規模な再編劇が繰り返されることが予想されるが、最終的に預金者の利益につながらなければ預金者の支持は得られないということを、企業のトップは肝に命じるべきだろう。
●損保業界は3つの巨大グループに再編
  銀行の再編が進む中で、損保業界では「ミレアホールディングス」が誕生した。持ち株会社方式による経営統合は損保業界では初めてである。業界最大手の東京海上火災保険は企業向けの分野に強く、日動火災海上保険は個人向けの分野に強いというが、この両者が手を組めば、強力な体制ができると期待されている。また、平成14年7月には安田火災海上保険と日産火災海上保険が「損保ジャパン」として合併する予定で、三井住友海上火災保険を合わせると損保業界は3つの巨大グループに再編されるといえるだろう。今後、ますます激化しそうな金融業界の動きに注目していきたい。
(マネーライター  本田 桂子)
2002.04.09
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