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注目の投資信託−ライフサイクル型ファンド−
  投資信託各社で新規設定が相次いでいる投資信託に、「ライフサイクル型ファンド」と呼ばれるものがある。同ファンドは米国で登場し、1998年に外資系投資信託会社が日本で初めて設定した。しかし、大半が確定拠出年金制度の導入を見すえて2000年以降に設定されたものとなっている。
  ライフサイクル型ファンドは、主に年金資産の運用を意図した投資信託であるが、年金資産の運用の特徴としては、主として年齢に応じてリスクの許容度が変化していく点が挙げられる。例えば、定年まで30年以上ある若年層と、定年まであと数年の中高年層では、資産運用も異なってくる。若年層の場合、株式など収益性の高い資産の配分を大きくした積極運用が可能であるが、定年までの期間が短い中高年層の場合は、安全性を重視した国内債券中心の運用になると考えられる。
  しかし、実際に自分に適切な資産配分を考え、それに合った投資信託を選ぶことは、投資経験の少ない初心者には困難であり、その解決策として登場したのがライフサイクル型ファンドである。ライフサイクル型ファンドは、下表のように資産配分のパターンが異なる複数のタイプのファンドを準備し、投資家はこの中から自分に合ったものを選択できる。さらに各タイプのファンド間での乗り換えも可能にした投資信託の「パッケージ商品」である。
<ライフサイクル型ファンドのイメージ>
 
(1)収益性重視型
(2)中間型
(3)安全性重視型
資産配分
収益性資産(株式など)
70% 
50% 
30% 
安全性資産(国内債券など)
30% 
50% 
70% 
※上記はイメージであり、投信会社により設定されるファンドの数や配分比率は異なる。
  上記のように、ライフサイクル型ファンドは、一般に3〜4程度の資産配分の異なるファンドの中から、自分に合ったものを選択するだけで、投資経験の少ない初心者でも分散投資による合理的な資産運用ができる点で魅力的である。しかし、年齢の上昇などライフサイクルの変化に応じて、自分の判断で乗り換えていく必要があり、その意味では投資家によるタイミング判断が要求される。この課題を解決したのが、年齢の上昇に応じて自動的に資産配分を調整してくれるタイプの「ターゲットイヤー型」と呼ばれるライフサイクル型ファンドである。
<ターゲットイヤー型のライフサイクル型ファンドのイメージ>
一般的なライフサイクル型ファンドが、複数の資産配分の異なるファンドの中から現在の自分のリスク許容度に見合った1つを選び、その後はライフサイクルの変化に応じたファンドの乗り換えを要するのに対し、ターゲットイヤー型と呼ばれるライフサイクル型ファンドは、2010年、2020年といった複数のターゲットイヤーのファンドを初めに選択すれば、ターゲットイヤーに向かって自動的に収益重視型から安全性重視型に資産配分が調整される仕組みになっている。
いずれのタイプにせよライフサイクル型ファンドは、確定拠出年金の運用商品として今後普及が見込まれる投資信託といえよう。
2002.04.16
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