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リスク性商品による年金資金運用
  銀行での個人年金販売が開始される平成14年は、生保窓販解禁元年といえるだろう。窓販解禁により、自助努力型年金の代表格である個人年金の販売は、競争激化が予想され、中でも変額年金などの投資型商品が、個人年金マーケットの主役となるであろう。従来のような確定年金タイプとは異なり、投資型の年金商品は顧客に対して常に資産運用に関するさまざまなアドバイスが必要になる。特に、最近の変額年金タイプは、加入者自身が国内株式、海外株式、国内債券、海外債券の投資割合をそれぞれ選択できるタイプが大半を占めており、この投資割合の選択が顧客、販売者それぞれにとって最も頭を悩ませるところである。
  投資割合を選択する際ヒントの一つとなるのが、先ごろ厚生労働省より発表された公的年金運用計画である。この計画によれば、平成14年度の公的年金(厚生年金と国民年金)の積立金のうち、国内外の株式、債券市場で積極運用される資金は36兆円。これは平成13年の運用資金26兆円を10兆円も上回る運用金額である。また、この厚生労働省の計画によると、今後さらに市場で運用する資金を増加し、平成21年度には何と150兆円になるという。従来は財政投融資で公的年金を運用してきた厚生労働省だが、特殊法人改革に伴い、特殊法人発行の財投債が減るなど、これまでのような安全、確実、高利回りというウルトラC的運用手段が絶たれ始めた結果、やむを得ず市場運用を始めたというのが本音であろう。
  また、政府が市場運用を急ぐ要因の一つとして、現在の公的年金の積立利率が年利4%に設定され、その利率を前提に保険料計算が行われていることが挙げられる。年利4%とは、元本を18年で約2倍にする利率であり、この超低金利時代において夢のような高利率といえる。その一方で、現在の金融商品の中で年利4%を実現することは日本国債であっても難しい運用環境である。そのため今後の公的年金運用計画は、リスクを負ってもさらにリターンが期待できる国内株式、外国債券、外国株式を組み入れたより積極的な運用計画が作成されたのであろう。
<自主運用のポートフォリオ>
(年金資金運用基金で実施/平成21年3月末完成予定)
投資対象
投資金額
比率
国内債券および財投債
102兆円
68%
短期金融資産
7.5兆円
5%
外国債券
10.5兆円
7%
外国株式
12兆円
8%
国内株
18兆円
12%
合   計
150兆円
 
(厚生労働省 社会保障審議会)
  変額年金を販売する際、顧客から投資組入割合を求められた場合には、公的年金積立金の運用を目的とした年金資金運用基金の市場運用(株、債券の組入割合)を参考にするのも一つの方法といえる。
2002.04.23
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