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女性と年金問題Vol.1
〜女性のライフスタイルの多様化〜
  女性の就労人口は増加し続けている。しかし、女性の就労が必ずしも正規雇用とはならず、パートタイマーを中心とする短時間労働者の増加に偏重しているため、被用者年金(厚生年金など)の適用につながっていないのが現状である。特に、子育て期である20歳代後半から30歳代にかけて、被用者年金の被保険者比率が低下する傾向も変化はみられない。
  近年、顕著な変化がみられるのは家族形態についてである。女性の晩婚化が進んでおり、各年齢層において未婚率が上昇している。また、離婚件数も大幅に増加しており、年齢別に見ると、若い世代に加えて40歳代、50歳代という中高齢者で比較的同居期間の長い夫婦の離婚(俗にいう「熟年離婚」)も増加している。
  核家族化と高齢化の進展の結果、高齢者のみの世帯や単身高齢女性が増加している。高齢者に占める割合は圧倒的に女性が多く、老後期間の長い女性に対して公的年金による生活保障の重要性が一段と高まっており、老後問題は女性の問題といっても過言ではない状況になりつつある。
  また、女性のライフスタイルの多様化に対応した年金制度改正の動きとして、昭和60年の年金改正で「基礎年金制度」の導入がなされ、専業主婦が第3号被保険者として国民年金に加入することになった。従前の制度は被保険者(世帯主)に対して老齢年金を給付する考え方であったが、この改正により離婚した場合でも女性が年金を受給できることになり、「女性の年金権が独立」した。
  さらに昭和60年および平成6年には、子を有する妻や中高齢の妻に対する給付の重点化と給付水準の改善を図って「遺族年金」が改正されている。また、平成6年および平成12年の改正では、「育児期間に係る配慮措置」が取り入れられた。
  現在、女性の老後生活保障について、健康や介護をはじめさまざまな課題が提起されているが、老後生活の経済基盤としての年金問題についても、次のような課題が認識されており、順次取り上げる予定である。
◆多様化する女性のライフスタイルと標準的な年金(モデル年金)の考え方とのかい離
◆被用者年金の加入期間の短さ、低賃金に伴い相対的に低水準にとどまる女性の年金
◆さまざまなライフスタイルを選択する女性の間での不公平感
◆女性の長い老後期間に対する保障
厚生労働省: 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書」より <要約>
http://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-1.html
2002.04.23
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