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政府が発行する新型国債はペイオフ対策の救世主か?
●相次ぐ格下げにもかかわらず国債が大人気
  4月15日、米国の格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が日本の長期国債格付けを「ダブルAマイナス」に引き下げると発表した。昨年11月に引き続いての格下げである。小泉内閣の構造改革の遅れが理由のようだが、今後さらに格下げになる可能性もある。もはや日本国債の信用度は先進国の中で最低ランクの位置付けだが、それにもかかわらず最近、国内の個人投資家の間で国債の人気が高まっている。東京三菱銀行では2月から国債販売キャンペーンを行っているが、売れ行きは昨年の10倍のペースで、月を追うごとに売り上げが伸びている。金融機関によっては、今年に入ってから2年国債、5年国債はともに、毎月発売と同時にほぼ完売状態だという。
●人気の理由は高金利とペイオフ解禁
  従来、国債はどちらかといえば地味な商品であり、高齢者が購入する商品というイメージがあった。手数料が少ないためか金融機関でも積極的に販売していなかったが、ここに来てガラリと状況が変わったのはなぜだろうか?理由の1つは金利の高さにある。銀行のスーパー定期の金利は2年もので0.04%、5年もので0.1%程度だが、2年国債と5年国債の金利はそれぞれ0.1%、0.5%と4〜5倍の高利率である。低金利にあえぐ個人投資家が飛びつくのも無理はない。もう1つの理由は4月からのペイオフ解禁だ。安全な運用方法を求めて右往左往している個人投資家やマンションの管理組合が、「絶対安全」な国債に注目している。金融機関でも、普通預金の残高を増やすよりはと、国債の販売に意欲を示している。
●来年1月から個人向けの新型国債が登場
  政府も個人向けの国債販売には前向きだ。2003年1月には個人向けの新型国債の発行が予定されている。政府は今後、借り換え分も含めて年間100兆円以上の国債を発行する見通しであり、なんとか個人に国債を購入してほしいと期待しているようだ。だが、資産運用という側面からみれば、現在の超低金利下では国債のような長期固定商品は購入するべきではない。そのため新型国債では、金利を固定金利ではなく変動金利にし、償還前に換金に応じることで個人投資家が購入しやすいようにしている。
<新型国債の特徴>
・最低価格が5万円から1万円に
・変動金利
・10年満期
・満期前でも政府が直接換金に応じる
・インターネット上でも販売
●償還期間まで保有することが大原則
  新型国債の発売でますます国債人気が高まりそうだが、現在の低金利が永遠に続くわけではないことに注意したい。保有期間中に金利が上昇しインフレにでもなった際には国債価格は暴落し、国債の償還前に売却したら大損してしまったという事態になりかねない可能性もあるからだ。これから国債を購入する場合、償還期限まで保有できるように余裕資金で購入することが鉄則だ。特に、来年4月からは普通預金のペイオフが解禁されるが、そのお金で国債を購入する場合は、運用期間を十分考える必要があるだろう。
(マネーライター  本田 桂子)
2002.04.23
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