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女性と年金問題Vol.2
〜女性の年金制度における課題〜
  現行の年金制度は、現役時の生活の履歴(標準報酬額、加入年数など)が給付額に反映する仕組みになっている。しかし、多様化している女性のライフスタイルは、仕事面だけをみても専業主婦、常勤勤労者、パート従事者など多岐にわたる。また、未婚、既婚など基本的な生活スタイルも変化しているため、現行制度の考え方とは著しくかい離しており、さまざまな問題がそこに存在していることが分かる。
1. 多様化する女性のライフスタイルと標準的な年金(モデル年金)の考え方とのかい離
現行の公的年金における標準的な年金(モデル年金)の考え方は、40年間平均的な賃金で働いた夫および全期間専業主婦だった妻からなる夫婦世帯を標準としている。世帯(夫婦)全体の年金額は、平均的な現役男子労働者の手取り年収の6割程度の水準となるような設定である。従って、働く独身女性についての考慮は存在せず、老後における公的年金での経済的保障が見えにくい状況になっており、女性の一定の加入期間を前提としたモデル年金を設定し、給付と負担のバランスを考え、働く女性にとって安心できる年金制度の構築が求められている。
2. 被用者年金の加入期間の短さや低賃金に伴い、相対的に低水準にとどまる女性の年金額
短時間労働者などへの厚生年金適用範囲の拡大と、育児期間などに係る年金制度の配慮措置が提案されている。現行年金制度は、常用的な使用関係にある雇用労働者に対する年金支給を目的としており、厚生年金では、「通常の就労者の所定労働時間・日数のおおむね4分の3以上の就労者」がモデルである。短時間労働者が大半を占める女性の場合、加入期間が短くなり、そのため年金額も少なくなってしまう。
  このようなことから、男性に比べ働き方が多様である女性の年金保障を充実させるとともに、制度の支え手を増やすという観点からも、現行基準を見直し、短時間労働者にも厚生年金の適用を拡大することが、課題として認識されている。女性の場合、結婚や出産、育児を機に仕事を辞めるというパターンが依然として多く、その結果として加入期間が短くなってしまう。この課題を解決するためには、安心して子どもを産み、育てられる社会的環境の整備が重要課題となっており、少子高齢社会を迎えるにあたり、女性の労働力の活用は避けることのできない重要な政策課題となっている。
  次回は、専業主婦(第3号被保険者)の保険料負担と、遺族年金の問題を取り上げる予定です。
厚生労働省: 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書」より
<要約>
http://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-1.html
2002.05.07
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