>  今週のトピックス >  No.409
ペイオフ解禁で注目を集める商品
●より安全な運用先を求めてさまよう個人マネー
  4月25日から第54回国際捕鯨委員会(IWC)年次会議が、かつての捕鯨基地であった山口県下関市で開幕した。科学委員会南氷洋ミンククジラ・アセスメント作業部会をはじめとして、クジラの資源管理についての協議に入った。5月20〜24日の総会までの1カ月間、商業捕鯨の再開を目指す日本と、永続的な捕鯨禁止海域(サンクチュアリ)の拡大を求める反捕鯨国との間で激論が展開されている。その背景を見てみよう。
●普通預金金利は限りなくゼロに近づく
  定期預金には預けたくないが、ほかに良い運用方法が見つからないため、とりあえず来年の4月までは普通預金に預けることにした人も多い。その結果、国内の定期預金が前年同月比で30兆円減ったのに対して、普通預金は40兆円増加している。銀行にとって普通預金は、コストがかかるばかりであまり増えてほしくないのが本音だろう。主要銀行は4月から普通預金の金利を0.02%から0.001%へと一気に引き下げた。これでは、いくら普通預金が安全(来年4月までは)でも、預金者にとっては魅力が乏しいと言わざるを得ない。
●郵便局の振替口座や証券会社のMRFに注目
  株も預金も運用面で魅力がないのなら、せめて安心できる商品を選びたい。そのような理由で注目されているのが郵便局の振替口座だ。お金を預けても利息はつかないが、払い戻しは国が保障してくれるという安心感がある。通常の口座に1,000万円以上預けると、超過分は自動的に振替口座に移されるので手間もかからない。また、普通預金の魅力がうすれるに従って、相対的に魅力がアップしたのが証券会社のMRFだ。これまでは株や投資信託を買うための一時金を預ける場所にすぎなかったが、万一、証券会社が破たんした場合でも資金が保護されることや、銀行や郵便局のATMから手数料なしで引き出せるようになるなど、使い勝手が向上したことから注目が集まっている。普通預金より、わずかだが金利(野村証券で4月30日現在0.012%)も良い。
●横のつながりを強化する地方銀行
  ペイオフ解禁で生き残りをかけている地方銀行では、横のつながりを強化している。地方銀行の一部では、1,000万円を超過した分を手数料なしで提携銀行の定期預金に預け替えるサービスを行っている。金融機関が少ない地方に住んでいる人にはありがたいサービスである。また、1件当たりの預金額が大きいマンションの管理組合では、国債や積立保険に資金を移す動きが盛んになっており、特に積立火災保険の契約が伸びている。ある大手損保の予定利率は5年契約で0.5%(5年ものの大口定期金利は0.15%)と高い。預金よりも税金面で有利なのも魅力だ。
  反捕鯨側の理由は、たとえ沿岸に限定しても、いったん商業捕鯨を認めれば、乱獲が加速するのではという懸念があるからだ。監視体制や罰則が不十分な状況では、日本という市場がある限り、そこに進出しようと日本への輸出を目的とした捕獲が外国でも増え、結局地球全体のクジラが減少することにつながりかねないからだ。
  ローコスト・ローリスクの商品を求める預金者の要求を受けて、各金融機関では知恵を絞っている。来年4月に普通預金のペイオフが解禁されるとき、普通預金からあふれ出したお金がどこに向かうのか、興味深いことろである。
(マネーライター  本田 桂子)
2002.05.07
前のページにもどる
ページトップへ