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教育訓練給付の対象講座に「就職効果」の測定を義務付け
●教育訓練給付の支給額が前年比33%アップ
  「身体障害者実態調査結果の概要」が平成14年4月に発表された。厚生労働省が5年ごとに調査しているもので、今回は平成13年6月1日現在の調査結果であり、平成8年発表以来の調査となる。
  人気の高まりとともに支給額も増加しており、2001年4月から2002年2月までの支給総額は、約362億円と前年度実績を33%上回った。これは、2001年1月に1人当たりの給付限度額が、20万円から30万円にアップしたことも大きな原因といえるだろう。ただでさえ失業者の増加で財政事情が厳しい厚生労働省は、教育訓練給付の受給額を抑えるために、支給対象となる認定講座の基準を見直すことに決めた。
●専門性の低い講座を認定講座から除外
  教育訓練給付制度の認定講座数は、2002年4月現在で2万727件と、導入からほぼ3年の間で6倍以上に増えている。以前は、ワイン講座やフラワーアレンジメントなど趣味的な色彩が強い講座も含まれていたが、2001年10月に基準が見直され、職業訓練に直結するものが中心になった。その結果、情報関係や社会・保健衛生関係、大学や大学院で開講するビジネス講座などの認定講座が増加した。
  今年4月の見直しでは、さらに就業に直結しやすくなるように、専門性の低い講座が排除された。初級英会話や英検2級以下の講座は対象から外され、TOEICは470点以上を目指すコースから650点以上へと基準が引き上げられた。支給対象となる講座数が絞られた結果、資格スクールによっては、認定講座が半減する事態になったところもある。
●授業が一定の効果を出さなければ認定が受けられなくなる
  認定講座の見直しは、原則として4月と10月の年2回行われる。次回の10月の見直しでは、教育訓練給付制度の効果がないと認められる講座は、給付対象から外されることになった。厚生労働省は10月から専修学校、各種学校、大学に対して、受講者のうち就職できた人がどれだけいたかなどの点検を義務付ける方針だ。
  具体的には、(1)対象講座を終了した人にアンケート調査を行い、講座が転職やキャリアアップに役立ったかを聞く、(2)受講者の何割が官民の資格試験に合格したかなどの客観的データを提出させることが予定されている。もし学校側が点検を行わない場合は、認定講座としての指定や再指定が受けられなくなる。
  また、現在は受講課目にかかわらず給付金の上限額は同じだが、将来的には特に質が高い講座については、給付額を上乗せすることも検討している。
  これまで「教育訓練給付が受けられる」ことを売り物にしてきた学校側では、授業や講師のレベルアップを図らなければ、指定講座から外されるという事態が起こり得る。一方生徒側にとっては、授業の質が向上することが期待できるとともに、専修学校のレベルを測る手だてにもなるなどメリットが大きい。これから受講を考えている人にとっては、ますます使い勝手のいい制度になりそうだ。
2002.05.14
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