>  今週のトピックス >  No.430
今度こそ景気回復は本物か?
○景気底入れの兆しが見えはじめた日本経済
  2000年の10〜12月期をピークとして()後退局面に入ったとされる日本国の景気局面において、本年初め頃には景気が底を打ったのではないかという見方がコンセンサスとなりつつある。政府が5月に出した月例経済報告では、景気は「依然厳しい状況にあるが、底入れしている」との判断を示し、3カ月連続で景気判断を上方修正している。また株式市場においても一時期、日経平均1万円を割り込んだ株価が、2002年初めには反転してきている。
政府の景気基準日付
○「失われた10年」の景気回復パターンとは
  バブルが崩壊した90年代初頭から今日までの日本経済を称して「失われた10年」といわれている。バブル崩壊後も、今回の景気底入れ以前に、1993年10〜12月期、1999年1〜3月期を底とする2回の景気回復局面があったが、バブル以前の感覚からみるといずれも力強さに欠けるものであった。景気の強さを端的に表すとされ、マーケットの注目度も高い「日銀短観」()をみると、バブル後の景気回復がいかに弱々しいものであったか、その数字に如実に現れているといえよう。
日銀が四半期ごとに発表する調査。企業に対してさまざまな項目のアンケート調査を行い、その結果を指数化。各項目の中でも、業況判断D.I.(業況が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いたもの)が注目される。
○今度こそ力強い回復は期待できるのか
  「今度こそ力強い回復は期待できるのか」という疑問は、生活者としてもあるいは株式投資のタイミングを探る個人投資家にとっても大きな関心事であろう。
  バブル崩壊後の景気回復が力強さを欠いてきた要因として、供給過剰によるデフレや企業の人員・設備の過剰など、多くの構造的な下押し圧力が働いてきたことが挙げられる。こうした構造調整圧力は依然続いてはいるが、この10年間で多くの不振企業が淘汰され、残った企業も人員削減や設備の廃棄など、必死の「構造改革」を進めてきていることも見逃せない。とりわけ今期決算では、企業会計制度の変更も背景にリストラ関係費用などを計上したことなどにより、最終赤字企業の続出が予想されている。これはある意味、バブルの膿をいよいよ出し切り、守りから攻めへ転じるきっかけにもなるのではなかろうか。エコノミストや市場関係者の見方は依然慎重ではあるものの、これまでのL字型もしくはU字型といわれる回復ではなく、意外なV字型回復の可能性に期待したい。
2002.06.11
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