>  今週のトピックス >  No.431
日本企業の中国進出急加速
  東京海上、トヨタ自動車など大手企業の中国進出が相次いで報道されている。東京海上は、中国の国営企業「中国人民保険公司」と顧客情報の交換や商品開発などで包括的な業務提携を行い、まだ未解放の都市における損保市場の開拓を目指すという。またトヨタ自動車は、自動車メーカー最大手の「第一汽車」と合弁生産により高級自動車の市場開拓を狙っている。
  日本企業の中国進出は、1979年からの改革解放政策以降行われてきたが、近年は一段と目覚しく、2002年の対中投資総額は過去最高になる見通しである。また、大手企業だけでなく中小企業にまですそ野は広がり、車や電子機器メーカーのみならず、食品、サービス、金融・保険など、あらゆる業種がすでに進出もしくは計画中である。
  このような進出の背景には人口約13憶人という市場性に加え、年7%の経済成長を続ける巨大市場としての魅力にある。特に、上海や広東省を中心とする沿海部は10年連続2けた成長を続け、消費ブームに沸いている。従来の安い人件費で生産コストを下げるという目的だけでなく、巨大な消費市場である中国国内へ販売網を拡大していこうというわけだ。
  しかし、過去に天安門事件や中国人労働者とのトラブルなどで撤退を余儀なくされた企業も相当数あり、「バスに乗り遅れまい」というような安易な進出はリスクも大きいとされている。発展著しい沿海部と対照的な内陸部との格差や地域の特殊性、司法制度の不備、中国人と日本人の価値観の相違、政治上の変革など、抱える問題や不安材料を検討しクリアしていく必要がある。
  一方、生・損保業界についても、中産階級や高所得者の増大によって潜在市場も高くなっており、今後の発展が期待されている。
  AIGは去る5月、全額出資の子会社AIAが外資系生保会社としてはじめて、北京での営業許可を取得したと発表した。AIGは1992年に上海で営業免許を取得、その後、広州、シンセンなどにも拠点を設け、中国市場で10年にわたる営業実績を上げている。2001年に中国のWTO(世界貿易機関)加盟後は、アリアンツ、メトロポリタンなど欧米の12社が進出を表明している。
  日本の生保各社は国内の事情が厳しいこともあり、現在のところ一部大手を除き積極的な動きはみられない。中国のWTO加盟半年後、巨大市場に向けて外国資本が今後もさらに進出してくることが予測されるが、製造業に比べ金融・保険業はまだこれからといえよう。
2002.06.18
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