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「歩きたばこ」の禁止が立法化へ
〜愛煙家の肩身がますます狭く〜
  たばこの害についていろいろな意見があるが、ほとんどが健康面についての議論である。だが最近はたばこが健康に与える悪影響とは違った視点から、喫煙を制限しようという動きもでている。
  民主党のネクスト・キャビネット(次の内閣)が、歩きたばこを罰則付きで禁止するための軽犯罪法改正案をまとめ、国会に議員立法(「歩きたばこ」禁止法案)として提出しようと動いている。すなわち道路・公園・駅などの公共の場所で、歩きながらたばこを吸うこと(路上喫煙)は、火の付いたたばこが街中で凶器に化ける危険性があるため、危険な行為として罰則を付けて立法化しようというものだ。
  具体的には、軽犯罪法に歩きたばこを禁止する条文を加え、違反者を30日未満の勾留または1万円以下の科料にするという内容。火の付いたたばこを危険物と定義し、持ちながら公共の場所や乗り物などを移動した場合には違反となる。歩きたばこを違法行為とすることで、人や衣服などの財産をたばこの火から守ることを目指している。これにより、たばこの火が子どもの顔に当たってやけどをさせたり、衣服を焦がしたりといった被害がなくなることが期待される。自治体レベルでは、横浜市や神戸市のように、すでに条例を定めて歩きたばこを制限しているところもある。また東京都千代田区では、6月に開かれる区議会において、全国の自治体としては初めて罰則(2万円以下の過料)付き条例案が提出される予定となっている。
  5月31日は世界禁煙デーであった。小泉首相のメールマガジンに、坂口厚生労働大臣のメッセージが掲載された。以下にその内容を抜粋してお伝えする。
  まず喫煙の弊害については、一番注意を要する肺がんとの関係を挙げ、統計的には明らかに喫煙者と肺がんの関係は深く、日本における肺がん罹患率が、喫煙者は非喫煙者に比べ6倍強の数字、米国では4〜10倍、ヘビースモーカーでは15〜30倍の数字が出ていると述べている。
  また、喫煙指数(肺がんハイリスク群「肺がんになる危険度が高い集団」を測る尺度)についても、一日の喫煙本数×年数で50歳以上の人が600以上になるとハイリスクになるが、1日20本ずつ30年間続けると指数は600に達し、一日の喫煙本数が多く喫煙年限が長いほど危険度は増加することを明らかにしている。
  さらに、たばこは止められないができるだけ低タール、低ニコチンのものをと努力を重ねている人に対して、厚生労働省がたばこ事業法で採用しているISO基準に従った測定方法(箱に表示されている測定方法)と、カナダ政府や米国マサチューセッツ州が採用している測定方法を、たばこの主流煙について使用した2つの発がん物質の測定方法として挙げたうえで、実際には箱の表示値よりタールは2〜5倍、ニコチンは2〜4倍多いという事実を述べている。また、低タール、低ニコチンのものは喫煙する人にとって物足りず、どうしても強く、しかも頻回に吸煙することになるという結果を述べ注意を呼びかけている。
  また、肺がんになったときの初期症状についての注意として、初期症状が「無症状」であることに気を付けるようにとしている。
2002.06.18
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