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医師の過剰時代へ向かう?
  厚生労働省が公表した「平成12年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、全国の届出医師数は2000年12月31日現在25万5,792人で、1998年調査に比べ7,181人と2.9%の増加。人口10万人に対して医師数は201.5人で、1998年と比べ4.9人増え200人を超えた(1970年の医師数は11万8,990人で、人口10万対114.7人の割合)。
  施設・業務の種別をみると、病院や診療所の医療施設に従事している医師が24万3,201人で95%を占めている。診療科名別では内科が7万4,539人(30.6%)と最も多く、次いで外科の24,444人(10.1%)、整形外科が17,952人(7.4%)となっている。ほとんどの科で医師の絶対数は増えているが、少子化の影響か産婦人科は1万585人で前回調査より331人減少している。
  医師の年齢階級・性別では男性が20万8,353人(2.2%増)、女性が3万4,848人(5.5%増)となっており、30〜39歳が6万4,930人(26.7%)で最も多く、29歳以下では女性の割合が30.9%を占めている。いずれ医師の3人に1人は女性ということになるだろう。
  なお、歯科医師数は9万857人で、前回に比べ2,796人(3.2%)増加している。年齢階級別では40〜49歳が2万7,042人(30.6%)で最も多く、医師と同様に29歳以下では女性が36.5%を占めている。
  医薬分業の影響で薬剤師は特に薬局で従事している人を中心に増えており、21万7,477人(5.6%)、前回比1万1,524人増で医師に迫る数となっている。
  このように医師・歯科医師・薬剤師とも年々増えており、かつ女性の占める割合が高くなっている。1970年当時の厚生省は「昭和60年までに人口10万人あたり医師数を150人確保する」という目標を掲げたが、すでにその目標を上回り医師の過剰時代に突入している。さらに毎年8,000人ほどの医師国家試験合格者がいるため、現状のまま推移すれば2028年前後には人口対300人にもなってしまう。このため厚生労働省では、医師の新規参入を2020年までに10%程度削減する必要があるとしている。
  しかし、先進国の中でみると日本の医師数はそれほど多いとはいえない。また、病院によっては規定の医師数を満たしていない所もあり、都会に比べ地方に医師が少ないという課題もある。イタリアは人口10万に対する医師数が590人で日本の3倍近い。
  医師数については、地域遍在や科目偏在、さらには最近問題になっている医療過誤などの質の面なども考慮したうえで論議すべきである。
『年齢階級・性別にみた医師数』
 
29歳以下
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70歳以上
総数
17,750
53,042
56,024
33,290
21,824
26,411
208,353
7,943
11,888
7,148
3,498
1,808
2,561
34,848
厚生労働省「平成12年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」
2002.06.25
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