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女性と年金問題Vol.4
〜年金の目指すべき方向と視点〜
  現在、「女性自身の貢献が実る年金制度」「夫一人で築く年金から、夫婦のそれぞれで築く年金」への変革が進められている。男女がさまざまな形で就労したことが年金制度上で評価され、それに応じて老後の自立生活を支える年金が充実していく方向が展望されているのだ。
  その方向性として、厚生労働省は「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書」で次の3つの視点を提案している。
【女性と年金をめぐる問題についての3つの視点】
  1. 個人の多様な選択に中立的な制度の構築
    働く意欲を持つ者が多様な形で働き、国民の一層の能力発揮につなげる

  2. 年金の支え手を増やしていく方向
    女性の就労の拡大や将来の年金制度を支える次世代の育成の支援につながる

  3. 女性に対する年金保障の充実
    自ら保険料を納付したことが老後の年金に反映することを通じて、男性と比べて単身での老後生活期間を送る可能性の高い女性に対する年金保障の充実を図る
この問題を解決するためには、女性の生活・就労に対する社会的インフラを整備し、長期的な視点に立った年金制度の改革が必要となる。以下は同検討会報告書からの提案である。
  1. 女性の就労支援策など 女性と年金問題の根本的解決は、女性が男性と同じように所得を得る社会を実現することである。
(1)
雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
(2)
職業生活と育児などの家庭生活の両立支援
(3)
多様で柔軟な働き方の整備
(4)
若齢労働者対策
  1. 少子化対策の推進
    日本の経済社会の将来の在り方に大きな影響を持つ重要な政策課題であり、子を産み、育てやすい環境づくりについて一層の推進を求めている。

  2. 健康保険制度、税制、企業の配偶者手当ての問題についての検討
    各種制度において、整合性を持った取り組みが必要である。特に、健康保険制度の被扶養者認定基準、税制上の配偶者(特別)控除、企業の配偶者手当ての取り扱いなどは、短時間労働者の就業調整の要因となっているとの指摘も多く、就業形態の多様化に対応して整合的な見直しが必要となっている。
報告書では、「女性と年金問題」の視点以外にも、社会保障としての年金制度の考え方(「個人単位と世帯単位」「応能負担と応益負担」「公平性の確保」)についても提唱している。

目前に迫った超高齢化社会において、女性と年金問題は最大の課題の一つとなっており、今後、当報告書を参考に改革案が提示されるものと思われる。要約版として4回にわたり内容を紹介したが、詳しくは報告書そのものをぜひ研究願いたい。
厚生労働省: 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会・報告書」より
<要約>
http://www.mhlw.go.jp/shingi/0112/s1214-1.html
2002.07.02
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