>  今週のトピックス >  No.446
噴火・地震と保険
  日本の象徴である最高峰の富士山が最後に噴火した1707年(宝永4年)「宝永の大噴火」規模の噴火であれば、どの程度の被害になるかという「富士山ハザードマップ(災害予測図)」を同マップ検討委員会が中間報告で発表したのを受け、富士山について噴火が近いというショッキングなニュースが新聞、週刊誌などに取り上げられている。最後の噴火から約300年が経過しており、最近の富士山近辺の地震の状況から、いつ噴火してもおかしくないということだ。
  実際に富士山が噴火した場合、保険はどのような対応になるのだろうか。
  まず人的被害については富士山の噴火だけではそれほど大きくはないと考えられる。阪神・淡路大震災(死者6,435人)の際も生命保険は免責になっていない。従って、富士山の噴火についても免責条項は発動しないものと思われる。
  しかし、火山灰被害を中心に物的被害は甚大なものとなることが予測されている。梅雨時期に噴火すると、被害額は2兆1000億円〜5000億円になるものと予測される。損害保険の場合、噴火・地震が原因による損害は、火災保険をはじめ基本的には不担保となっており、地震保険や特約を付加して地震・噴火による被害も担保する必要がある(阪神・淡路大震災では、建物などの被害についてほとんどの火災保険は地震保険ではなかったため補償されず問題となった)。ただし、災害基本法に基づき「警戒区域」が設定された場合、新規に地震保険などは契約できないので早めの対応が必要である。
  「宝永の大噴火」は、東海地震に誘発されて発生したといわれる。過去、東海地震は10回以上の発生が記録されているが、富士山の噴火と同時発生はこのときだけであるという。万一、噴火と地震が同時に発生するとダブルパンチとなり、被害は大規模なものとなるだろう*1
  小泉首相がいうように「備えあれば憂い無し」の格言が、地震・噴火などの自然災害にも活きてくるかもしれない。
『生命保険の噴火・地震での免責』
免責条項  (生命保険普通約款より一部抜粋)
次の事由により被保険者が死亡しても給付金を支払わない

<災害死亡給付金>
(1)被保険者の犯罪行為
(2)保険契約者、被保険者または死亡保険金受取人の故意または重大な過失
(3)被保険者の精神障害または泥酔の状態を原因とする事故
(4)被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転している間に生じた事故
(5)被保険者が法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故
(6)地震、噴火または津波
(7)戦争その他の変乱

<死亡給付金>
(1)責任開始時の属する日から○年以内における、被保険者の自殺または犯罪行為
(2)保険契約者または死亡保険金受取人の故意
(3)戦争その他の変乱

【補足条項の一つ】
地震、噴火もしくは津波または戦争その他の変乱によって死亡した場合でも、その事由によって死亡した被保険者の増加がこの保険の計算の基礎に及ぼす影響が少ないと当会社が認めたときには、当会社はその程度に応じ、給付金の全額を支払いまたはその金額を削減して支払います。
*1
東海地震の防災基本計画(前文)
 
  『東海地震の地震防災対策強化地域に係る地震防災基本計画』の前文より
東海地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、大規模地震対策特別措置法(以下「法」という)第3条の規定に基づき地震防災対策強化地域(以下「強化地域」という)が指定されている。強化地域においては、警戒宣言が発せられてから発災するまでの間における対処のために、地震防災応急対策を実施することとなっている。
  この「地震防災基本計画」は、法第5条の規定に基づき、警戒宣言が発せられた場合の国の地震防災に関する基本的方針や、指定行政機関、地方公共団体などが定める地震防災強化計画及び特定の民間事業者等が定める地震防災応急計画の基本となるべき事項等を定め、当該地域における地震防災体制の推進を図ることを目的とするものである。
  この目的を達成するため、防災関係機関、地域住民等は、この計画を基本として定められる諸計画に基づき、警戒宣言が発せられた場合に一体となって一斉に迅速かつ的確な地震防災応急対策をとらなければならない。
  震災対策は、災害対策基本法による防災基本計画等に基づき、予防、応急、復旧のそれぞれの段階における諸施策を総合的に講じるべきものであるが、この地震防災基本計画は、警戒宣言が発せられた場合の地震防災応急対策の基本的事項等を対象とするものであり、防災都市づくりのために必要な施設等の恒久対策のすべてには及ばない性格のものであるが、強化地域においては、地域社会の地震に対する安全性を強化するためたゆまず努力する必要がある。特に、地域の総合的な防災性の向上を図るために長期的な観点から公共施設、建築物、産業施設等の耐震化を図ること及び出火防止施設、落下危険物防止施設等の整備を図ることについて十分配慮しなければならない。
  なお、この地震防災基本計画並びにこれを基本として定められる地震防災強化計画及び地震防災応急計画は、社会環境の変化、施設整備の強化等に応じ絶えず見直しを行い、実態に即したものとしておかなければならない。
2002.07.09
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