この時期は夏のボーナスに関する話題で持ち切りとなる。UFJ総合研究所のレポートによれば、2002年夏のボーナスの見通しは以下のように官・民ともに厳しい現状が予想されている。
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1人あたり平均支給額 |
前年比 |
民間 |
事業所規模5人以上 |
426,465円 |
▲2.7% |
事業所規模30人以上 |
498,033円 |
▲2.9% |
事業所規模5人〜29人 |
305,497円 |
▲0.4% |
国家公務員(国営企業職員含む) |
610,000円 |
▲1.5% |
地方公務員 |
569,000円 |
▲1.4% |
(注1) |
民間はパートを含む |
(注2) |
公務員は、国家・民間とも管理職を除く一般行政職員 |
(注3) |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計」、総務省資料 |
民間はパートを含む数値であり、現実は年齢層や雇用形態により大きく異なっていると思われるが、総じてマイナスという厳しい現状はほぼ間違いなさそうである。そのような厳しい環境を踏まえた上で夏のボーナスの運用をアドバイスするときは、どのような金融商品が考えられるかニーズ別に考えてみる。
(1) |
日本株投資を検討するなら→ETF |
(2) |
株式以外の投資信託を検討するなら→J-REIT |
(3) |
外貨投資を検討するなら→ドルMMFとユーロMMFを分散投資 |
(4) |
定期預金を検討するなら→インターネット銀行の定期預金 |
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もし日本株の将来に明るい見通しを持っている顧客の場合は、日経平均株価が7月1日現在で10,595円44銭と1980年代前半の水準となっている(一部の銘柄入れ替えあり)。現在は、日本株投資の時期としては良い時期かもしれない。中でもETFは、売買手数料や信託報酬などのコスト面や、株式同様に各種証券優遇税制(他の譲渡損発生の株式と損益通算が可能な点や、100万円の特別控除など)が活用できる点で、通常の従来の株式投信と比べ有利といえる。
また、株式以外に投資する投資信託に興味がある顧客の場合、最近5〜6%の高配当で話題となっている不動産投信(J-REIT)は検討する価値があると思われる。不動産投信もETF同様に、各種証券税制優遇の活用ができる点や50万円前後で購入できる点も個人投資家のボーナス資金運用においては魅力的である。
将来の日本に悲観的で円安を予想している顧客の場合は、日本のMMFや預金に比べ高金利である外貨MMFがお勧めといえる。勧める際のポイントは、2001年11月1日の水準まで円高が進行しつつあるドル建てMMFに投資を集中させるのではなく、ユーロ建MMFとニ分して投資するようにということである。ユーロ建ては米国に比べ金利も高めとなっている点(6月末現在のユーロ建てMMFの運用実績は2%後半とドル建MMFの1%前半を大きく上回っている)や、2001年11月1日の1ユーロは110.17円であったのに対し、7月1日現在では1ユーロ118.79円と依然として円安傾向が継続している点からも通貨分散は重要だろう。さらにこの時期は、金融機関ごとにボーナスキャンペーンと称して為替手数料の割引や金利優遇が行われていることが多い。そのようなキャンペーンを利用することは上手な運用の一つといえる。
一方、一定期間後に確実に使用する予定があるボーナス資金であれば、上記の(1)〜(2)のようなリスク商品ではなく、インターネット専業銀行の預金金利は通常の銀行より高めになっていることが多いことから、これらをうまく活用したい。ちなみにSONY銀行の定期預金は以下の通りとなっており、一般の銀行の定期預金に比べかなり高めとなっているので要チェックの商品の一つである。
期間 |
1年 |
2年 |
3年 |
金利 |
0.245% |
0.265% |
0.365% |
* |
上記金利は、預け入れ金額が10万円以上100万円未満の場合 |
* |
SONY銀行HPより(7月1日現在の適用金利) |
通常の銀行でもこの時期には、預金キャンペーンとして投資信託とセットで定期預金をする際の金利優遇が行われている場合もあるので、投信と預金を同時に検討したい場合にはそのようなキャンペーンの活用も良いかもしれない。
以上はほんの一例であり、ニーズによって選択する金融商品が異なるため、画一的なアドバイスは難しいのが実情だが、一方で顧客が商品選択にいろいろと迷うこともまた事実である。
この時期、ボーナスの資産運用の相談を受けることも多いと思われるが、その際は(過去の経験だけで通り一辺倒のアドバイスを行うのではなく)、常に最新の情報に基づいた提案ができるよう日ごろから幅広い金融商品情報(最近人気の商品や各種ボーナスキャンペーンなど)収集を心掛け、顧客から一層の信頼を獲得するビジネスチャンスにしたいものである。
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