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景気判断が上方修正へ
  2002年7月11日に発表された政府月例経済報告によると、2カ月ぶりに景気判断が上方修正された。
『政府月例経済報告における基調判断の推移』
2002年1月 景気は悪化を続けている
2002年2月 景気は悪化を続けている
2002年3月 景気は依然厳しい状況にあるが、一部に下げ止まりの兆しがみられる
2002年4月 景気は依然厳しい状況にあるが、底入れに向けた動きがみられる
2002年5月 景気は依然厳しい状況にあるが、底入れしている
2002年6月 景気は依然厳しい状況にあるが、底入れしている
2002年7月 景気は依然厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる
  今回の景気の局面に関しては、輸出主導で在庫調整が進み生産が回復基調にあることは各種経済指標から明らかだが、設備投資や個人消費などの内需に波及するかが大きなカギを握るとされている。月例経済報告ではこの点に関して、個人消費については「横ばいで推移する中で、一部に底固さもみられる」として前月の判断を据え置いたものの、設備投資については前月の「減少している」から、「減少しているものの、先行きについては下げ止まる兆しもみられる」とし上方修正している。設備投資は個人消費に比べGDPに占めるウェイトは小さいものの、景気への波及効果は大きいとされることから、設備投資に対する判断の上方修正が基調判断の上方修正につながったものとみられる。
  また、最近の世界的な株安、円高・ドル安傾向については「日本の最終需要が下押しされる懸念」を指摘している。
  政府の月例経済報告は、政府の景気に対する公式見解、ひいては今後の政策の方向性を占うものとして注目されているが、月例経済報告は時としてさまざまな思惑が働くという点について留意する必要があるだろう。過去の月例経済統計をみると、景気の悪化はなかなか認めたがらない一方、景気の回復はいち早く表明するという傾向にある。これは、成果は挙げたいが失敗は認めたくない政治的な思惑や、財政政策の出動を求める圧力を懸念する財務省の思惑などが一因となっている。
  実際、今回の月例経済報告についても、このところの世界的な株安、円高・ドル安の中での景気判断の上方修正には違和感があるとの指摘も出ている。
  今回の景気底入れが本格的な回復につながるかは、唯一の先導役ともいえる輸出の好調が持続するかが大前提といえるが、このところの円高傾向が加速するようだとこの大前提も危うくなってこよう。また、米国などの株安に連動し日本でも株式市場が低迷しており、これによる企業マインドへの影響についても注視していく必要があるだろう。
2002.07.23
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