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平成5年度には積立金残高が4兆752億円あった雇用保険も、失業者の増大で平成10年以降、失業者給付だけで毎年2兆円を突破し、赤字転落に追い込まれようとしている。
厚生労働省は7月19日、雇用保険の財政再建のため、10月から失業等給付にかかる保険料率を現行の1.2%から1.4%へ引き上げることを公表した。この場合、年収500万円のサラリーマンなら年間で約5,000円の負担増となる。
さらに給付についても、高額給付者の手当カットや定年者に助成される「高年齢雇用継続給付」の縮小を15年度の改正に盛り込む方針としているが、これに先立ち8月には「高年齢雇用継続給付」の支給限度額の引き下げおよび雇用保険の基本手当ての日額などの引き下げも実施される。
こうした料率の変更や給付の引き下げなどは、財政危機に陥ったときに適用できる「弾力条項」を活用し、法改正を経ずに実施できることとなっているが、失業が長期化している現在、本当に職を必要としている人たちにとって度重なる改正は不安を高めるばかりである。
『雇用保険改正・見直しの主なポイント』
○平成14年8月より実施
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現行 |
改正 |
最低額 |
− |
3,400円 |
3,368円 |
最高額 |
(1)60歳以上65歳未満 |
9,725円 |
9,640円 |
(2)45歳以上60歳未満 |
10,704円 |
10,608円 |
(3)30歳以上45歳未満 |
9,726円 |
9,642円 |
(4)30歳未満 |
8,754円 |
8,676円 |
2.高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額の引き下げ
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38万9,115円→38万5,653円
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○平成14年10月より実施
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○平成15年度から予定
1.高額給付層の給付率や上限額の引き下げ
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2.60歳以上の離職者の賃金日額算定の特例廃止
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3.再就職準備が可能な自発的離職者の給付日数のカット
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4.求職活動実績の重視による認定の厳格化
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5.不正受給防止に向けた罰則強化
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6.高年齢雇用継続給付の受給要件、給付率の厳格化
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