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外貨預金運用における注意点
  日本の超低金利政策は、経済の現状を考慮すると当面は継続されるようである。その影響で、一部のネット銀行や外資系銀行のキャンペーンを除き、日本は超・超低金利のままである。
  2001年9月時点で個人の外貨金融資産残高が10兆円に達し、過去最高を記録したのは記憶に新しいことである。現在の日本経済と金利を考えれば、今後も個人の外貨保有の可能性はさらに加速することが予想される。中でも外貨金融資産の代表的商品の一つである「外貨預金」は、金利・機能面から考えてもかなり魅力的な商品といえるであろう。そこで「外貨建預金」による運用の際、個人が見落としがちな点に対するアドバイスとしてどのようなものがあるかを考えてみよう。
ポイント1: 預金金利は、通貨・預入期間だけでなく、銀行によっても異なるのでよく比較・検討すること
ポイント2: 外貨預金は預金保険の保護対象外なので、預入金融機関の格付けはしっかりチェックすること
ポイント3: 通貨ごとに異なる為替手数料をしっかりチェックすること
  特にポイント3は、高金利通貨と密接にかかわる可能性がある一方で、意外に見落としがちな点である。例えば、主要通貨の手数料を次の3行で比較してみると以下のようになる。
単位:円
  為替レート
(7月20日現在)
A銀行の
為替手数料
B銀行の
為替手数料
C銀行の
為替手数料
米ドル 115.76 1 1 1
ユーロ 117.114 1.5 1.4 1
英ポンド 182.57 4 4 1
豪ドル 64.42 2 2.55 1
NZドル 56.55 2 2.55 1
スイスフラン 80.275 0.9 0.9 1
  NZドルの場合、預け入れ金額などの一定条件を満たせば、A・B行の1年定期で4%超となる。しかし、往復で為替手数料が4円もしくは5円必要となるわけである。さらに、NZドルは1ドルが56.55円となっているため、為替手数料が1ドルに占める割合は一般的な米ドルと比較すればかなり割高といえる。上記為替レートで米ドルの往復為替手数料を考えれば2円、為替レートに占める手数料割合は1.72%(2÷115.75)程度である。
  それに対しNZドルはA行の場合、往復4円となり手数料割合は7%にもなってしまう。B行では手数料が5円になるので、さらに手数料割合は高くなってしまうのである。つまり「NZドルや豪ドルは金利が高い反面、手数料率割合も高くなるため、金利だけで商品比較をしても有利不利は判断できない」ということである。ちなみにC行の場合、NZドルの為替手数料は往復で2円、手数料割合は3.5%となっている。一方で1年定期の金利は3.2%であり、一見金利が低いC行は不利のように判断されがちだが、手数料率も考慮すれば必ずしもC行が不利ではないことは明らかだろう。
  このように、外貨投資は、為替手数料や通貨単位ごとに異なる交換レートなど国内投資にはない注意点が存在するのである。
  外貨預金は、金利だけについ目を奪われる傾向があるので、金利だけでなく以上のような総合的判断の上で、真に有利な商品選択を行うように心掛けたい。
2002.07.30
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