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求められる人材は「販売・営業力」に秀でた人
〜最重要経営課題は「人材の育成強化」〜
  厚生労働省は7月に「平成13年産業労働事情調査の概況」を公表した。この調査は1984年以降、毎年テーマを変えて実施しており、2001年は「経済のグローバル化に伴う企業活動と労働面の対応に関する調査」というテーマで行われた。
  調査は常用労働者30人以上の民間企業4,089社を対象に、地域、産業、規模別に抽出し、2001年8月31日現在の状況について実施された。これによると、現在企業が最も力を入れている経営課題は「人材の育成強化」(60.4%)が最も高く、次いで「自社の独自性の発揮」(47.7%)となっている。
  では、どのような人材を求めているかの問いには、「販売・営業力」に秀でた人が54.2%で最も高く、次いで「発想・企画力」(41.8%)、「コスト意識・財務センス」(40.1%)が挙げられている。従来、出世のキーワードとされていた「会社への忠誠心」や「忍耐力」だけでは、もはや会社の求めている人材とはなりえない結果となっている。
  一方、同じく厚生労働省が2002年6月に発表した「企業の雇用管理についての調査」によれば、人事処遇面で「能力主義を重視する」と回答した企業は55.9%にのぼり、前回調査より6.4%増加した。「年功序列を重視する」と答えた企業はわずか0.8%にすぎず、「終身雇用・年功序列制度」は完全に過去のものとなりつつある。
  景気低迷が長期化し、経済のグローバル化が進展する中で、企業が求めている人材を要約すれば次のようにいえるだろう。
  1. 商品(製品)を売る、売れる商品を作る、そのような「販売・営業センス」は技術者であれ、事務職であれ社員全員に求められる
  2. 指示待ちの姿勢ではなく、「自分で考え、創造する」豊かな発想・企画力を常に磨く努力をしている人
  3. 親方日の丸意識ではなく、「コスト意識、財務センス」を持ち合わせている。
  以上のような能力に秀でた人材を育成・確保する方法としては、「内部社員の能力開発の強化」(60.2%)が最も高く、次いで「中途採用者の採用で対応」(52.1%)となっている。
  終身雇用制度が崩壊する中で、より優秀な人材を求める中途入社・採用は、今後一層進展していきそうである。
『求められる人材能力』(3つまでの複数回答)
厚生労働省「平成13年産業労働事情調査の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/sangyo/01/kekka2.html
2002.07.30
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