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平均寿命更新 男性は初の78歳台に
〜加速する高齢化と高まる公的年金への不安〜
  7月31日、厚生労働省より平成13年の簡易生命表が発表された。これによると、平均寿命は男性が78.07歳、女性が84.93歳となり、男性では初めて78歳を超える結果となった。さらに平成12年と比較すると、男性は0.35歳、女性も0.33歳ほど上回り、長寿国として今年も記録を更新している。この平均寿命の高さは世界各国と比較しても群を抜いているといえるだろう。
資料1 平均寿命の年次推移
資料2 世界主要5カ国と日本の平均寿命

  「人生80年」といわれて久しいが、今回の結果からも日本の高齢化がもはや歯止めのきかないところまで進んでおり、これに加えて日本が深刻な少子化傾向(合計特殊出生率*1は平成13年時点で1.33人)にあることを考えると、公的年金制度のさらなる財政悪化とそれによる老後生活の不安も否めない。
  政府では、2年後に行われる平成16年度の公的年金制度改正に向けて、物価スライド制の廃止や現在の年金受給者の給付額引き下げなども検討しているが、改正ごとに手当てが薄くなる公的年金制度に対して、国民の加入意欲は今後ますます低くなると予想される。その傾向はすでに出始めており、平成10年度の時点で国民年金の未納者*2が265万人、未加入者*3が99万人となっている(社会保険庁『平成11年国民年金被保険者実態調査』による)。
  保険料未払い、未加入の理由として「年金制度の将来が不安」という回答が数多くあがっていることから、今後も公的年金への期待が薄くなるとともに未納者、未加入者の数も増えそうだ。 現在の日本にとって平均寿命の伸びは、そのまま国の社会保障制度を揺るがす大きな問題として考えなければならないだろう。
*1 [ 合計特殊出生率 ] 一人の女性が一生(15〜49歳)の間に産む子どもの数の平均値。
*2 [ (国民年金の)未納者 ] 過去2年間一度も保険料を払わなかった人。
*3 [ (国民年金の)未加入者 ] 年金手帳の交付を受けていない(国民年金番号を取得していない)人。
2002.08.06
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