>  今週のトピックス >  No.484
新推計方式のGDPが示した日本経済の姿
  8月30日、内閣府は4−6月期のGDPを発表した。これによると、物価変動を除いた実質GDPは前期比0.5%増(年率1.9%増)と5四半期ぶりのプラス成長となった。
  GDPは日本経済の全体像を示す重要な統計であり、四半期ごとの発表は毎回注目されているが、今回は新たな推計方式を採用した初めての発表である点も注目を集めた。
  従来のGDP統計は、個人消費における家計調査など需要側の統計に偏っていたため、的確に経済動向を反映していないとの批判に加え、発表時期が当該四半期終了後2カ月余りと、諸外国に比べ遅い点も課題とされていた。こうした批判に対し、GDPを発表する内閣府では2002年5月、下記の内容を打ち出した。
(1)
供給側の統計を重視した新たな推計方式への変更
(2)
発表時期を現行より1カ月弱早める
なお、(2)については、新推計での作業の遅れから実際には予定よりも遅い発表となった。
  新推計では、過去の数値についても遡って改訂が行われた。この結果、1−3月期の実質GDPは前期比1.4%増の「高成長」からマイナス0.0%増に下方修正され、4四半期連続のマイナス成長となった。この結果、2001年度の実質GDPも1.3%減からマイナス1.9%減となった。
  1−3月期の「高成長」については、専門家の間から「上振れ」しているとの指摘もあっただけに、こうした見方が裏付けられたとみることもできよう。GDPという一国の経済統計の根幹たる統計の精度に疑念が持たれていたこれまでの状況が、少しでも改善されたとすればその点は歓迎すべきであるが、そこに示されたのは日本経済の厳しい現状といえるだろう。
  名目 実質
2000年度 ▲0.3  1.7
2001年度 ▲2.8 ▲1.9
2001年/4-6月 ▲9.1 ▲8.3
2001年/0-0月 ▲2.8 ▲2.7
2001年/10-12月 ▲3.3 ▲2.7
2002年/1-3月 ▲0.5 ▲0.1
2002年/4-6月 ▲0.8  1.9
2002.09.17
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