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現地取材!最新中国生保事情 Vol.1
〜好調な経済成長を背景に躍進を続ける中国の生保業界〜
  かつては「眠れる東洋の獅子」といわれた中国だが、今では約13億人の人口を擁し、年7%以上の経済成長を続ける「世界の市場」として期待されている。生保業界においても国営独占の時代は終わってから民間、外資系に門戸を開放し、2002年1月〜6月までの保険料収入は前年比84.5%と急増している。
  2002年9月5日から10日にわたる取材で、中国における生保事情の実態と課題を探るため、北京、上海の保険会社、エージェント、銀行、日本の出先機関などを訪れた。その内容を3回に分け、客観的事実に基づいて報告する。なお、詳細については『月刊リーダーシップ』12月号に掲載する。
Vol.1 「中国の生保会社、販売商品、チャネル」
Vol.2 「エージェントの実態、販売拠点」
Vol.3 「トップエージェントの活動」
○内国5社でシェア約98%の寡占状態
  中国における生保業務は共産主義政権下という事情もあり、歴史的にはまだ日が浅い。1982年に国内生保業務が再開後、1988年に国営1社から2社への複数体制に、1992年にAIAが外資系として始めてエージェントによる営業を開始した。その後、国内資本、合弁、外資などによる民間保険会社も設立され、2002年7月時点で営業中の会社は15社となっている。だが、うち中国人寿、平安保険など内国会社のマーケットシェアは97.9%で、欧米の合弁各社は苦戦を強いられている。そのほか、ライセンス取得済みの生命保険会社は、日本生命、米メトロポリタンなど14社で、目下、提携先企業を折衝中である。こうした会社や商品の認可は1998年に設立された監督官庁「中国保険監督管理委員会」で行っている。また、日本の生損保協会にあたるものとしては「中国保険行業協会」が2000年に設立されている。
○主力は有配当の貯蓄性商品にシフト
  銀行預金金利の低下、株式市場の低迷、医療・年金の社会保障制度の改革などの社会状況を背景に、生保各社は保障と投資機能を持つ新型商品を開発している。それにともなって主な商品は、伝統商品である無配当の養老保険・終身保険から、投資連結タイプや有配当などの貯蓄・投資商品に2001年からシフトしている(有配当や投資連結タイプ商品の収入保険料は生保総収保険料の65%)。
  医療や年金は単品商品として販売され、定期付終身や定期保険は一部富裕層や経営者を除きほとんど売れていない。
○増えつつある銀行窓販
  販売チャネルのメインはエージェントで、総数約12万人が登録しており、現在も各社大増員を展開している。登録試験は2001年度までは常識問題程度の内容でほとんど合格できたが、2002年度から難易度が高くなり、約1カ月の研修を実施しても合格率は27%と極端に低くなったという。
  販売チャネルのメインはエージェントで、総数約12万人が登録しており、現在も各社大増員を展開している。登録試験は2001年度までは常識問題程度の内容でほとんど合格できたが、2002年度から難易度が高くなり、約1カ月の研修を実施しても合格率は27%と極端に低くなったという。
  その他、内勤職員による団体保険の販売や、ネット、DM、電話など検討中のでのチャネルによる販売もいずれ具体化すると思われる。
【国有銀行ロビー風景】 【窓販用パンフレット】
(取材 当社  荒明 孝昌 加藤 登美夫)
2002.09.24
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