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政府税制調査会の中間整理について
〜配偶者特別控除の廃止と特定扶養控除圧縮化の方向〜
  一般的に3,000万円から4,000万円の住宅ローンを用立てして新築するのが一戸建て注文住宅である。
  (1)専業主婦などに対して所得控除を手厚くする配偶者特別控除の廃止
  (2)16歳以上23歳未満の子どもがいる家庭の所得控除を割り増す特定扶養控除の圧縮
  政府税調は、「家族にかかわる税制が複雑になってしまっているので、分かりやすくしたい、また、税制を分かりやすくすることで、納税の手間とコストの軽減を図りたい」と述べている。また、政府税調は、配偶者特別控除を廃止する背景として、ライフスタイルが変わり、女性も男性と同じように働くようになっていることを挙げている。
  具体的にいうと、配偶者には所得額に応じて2つの税額軽減(配偶者控除と配偶者特別控除)が適用され、このことが多くの主婦に積極的に仕事に従事し収入を増やすことをためらわせている(就業調整をさせている)可能性があるとしている。
  それでは、上の(1)(2)が実施されると、専業主婦と16歳以上23歳未満(高校生、大学生など)の子どもがいるサラリーマン世帯の家計はどう影響を受けるだろうか。
  収入の少ない主婦に対して、最高76万円となっていた控除額が38万円になれば、もっと多くの主婦が収入を増やすため働くことを期待できそうだ。しかし、専業主婦と高校生・大学生のいる家庭にとっては増税になるので財布のヒモが固くなるのではないか、それが景気に悪い影響を与えないか懸念される。また、将来の働き手の減少をもたらす少子化の対策をたてようとするときに、特定扶養控除の縮小は反対に子どもの数を減らす要因になる可能性がある。
  政府税調は今後、子育てへの支援を考えたいとコメントしている。しかし、試算したように、配偶者特別控除の廃止、特定扶養控除の圧縮だけを実施すると家計の自由になるお金が減り、子どもの数を減らす改正になってしまう恐れがある。少子化対策に十分配慮した税制改正が求められる。
2002.09.24
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