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予防医学とは?ストレスを弾き返す身体づくり
〜自分でできるアロマセラピー Vol.2〜
  予防医学はたいていの場合、保険が利かない。予防や慢性疾患、精神的な問題にも役立つと多くの人は承知しているが、高額で時間がかかるという点が実行をちゅうちょさせる原因にもなっているようだ。だが、日々の予防をせずストレスに負けやすい体でいては、最終的に大きな疾患を抱えかねない。結局は手術や入院、病後のリハビリなど長期にわたる可能性があり、個人の負担額もそれだけ大きくなるだろう。実際に個人の医療費負担額は年々増加している *1 。
  アロマセラピーとは植物芳香療法という予防医学であり、ある程度の精油をそろえてしまえば気軽に実行でき、しかも有効である。真に対応できる精油は非常に純度の高い、産地と生産者の身元がはっきりしたものを使用したものである。
まず、精油の身体への作用をどのような方法で与えるか、以下の3つがその主なものとなる。
(1) 皮膚から体内へ
精油は分子の大きさが毛穴より小さい。よって、皮膚から体内へ容易に吸収される。さらに、毛細血管、リンパ官のある皮膚の下層へ、血液や体液に乗り全身の各器官に働きかける。
  • キャリアオイル(植物性のベース油、ホホバオイル、グレープシード、オリーブオイル、スイートアーモンド、アボガドオイル 他)に精油を数滴垂らし皮膚へのマッサージを行う。
  • アロマ・バスとして精油を垂らしたお湯に浸かる。
(2) 鼻から脳へ
香りの分子が鼻腔を通り、嗅覚受容器官を刺激し脳へ。大脳、自律神経や内分泌系を支配する視床下部、下垂体に伝達され、神経化学伝達物質を分泌するといわれる。
  • ティッシュ・ペーパーなどに精油を垂らして部屋に置くと効果的である。アロマ・ポットは精油を加熱してしまうので、成分が変化してしまい効用が薄れる(変化しない精油もある)。
  • アロマ・バスの場合は皮膚と鼻から直接入るので、アロマ・ポットよりは効果がある。
(3) 鼻から肺へ
呼吸により、芳香分子が鼻から肺胞へ、毛細血管に入り血流に乗り体内へ。
  精油の排出経路は、血流に乗り身体の各器官に働きかけた後、便、汗、呼気として体外へ排出されるが、大部分は尿として排出される。
  精油は各種をブレンドするとその症状に有効に効果を発揮する。ここで具体的な事例を挙げる。
<臨床ケース1>
Aさん(32歳、女性、会社員)
身長:156cm 体重:53kg 体脂肪:29%
症状 冷え性、便秘症、肩こり、腰痛、生理不順・生理痛、頭痛、動悸
精神的症状 情緒不安定
「Aさんは職場の環境の問題で緊張が続き、気持ちが不安定。仕事の内容も緊張を必要とする。休日は十分取っているが、ここ1年ほど崩れた体調と精神状態が改善できない」
(1)
緊張緩和のためのレシピ。婦人科系のトラブルを考慮し、マッサージ用オイルを作る
 
グレープシードオイル30ml にクラリセージ2(滴) カモミール2 オレンジ2 サイプラス2 をブレンド
(2)
リラクゼーションと肩こり、冷え性などの改善、血行促進のレシピ。アロマ・バスにする
 
ローズマリー2 ラベンダー2 マンダリン2 タイム2を湯に垂らす
(3)
情緒不安定、頭痛や動悸のためのレシピ。
 
ラベンダー3 イランイラン2 カモミール3 を布やティッシュペーパーなどに垂らし部屋に置く
以上を同時進行するとよい。
<臨床ケース1>に関する精油の効用
○ クラリセージ
学名 Salavia Sclarea
科名 シソ科
作用 強壮作用、鎮静作用、抗神経障害作用、子宮強壮作用、ホルモン調整作用、抗鬱作用
○ カモミール(ローマン)
学名 Matricaria Chamomilla
科名 キク科
作用 強壮作用、鎮静作用、発汗作用、鎮痛作用、女性ホルモン同様の働き
○ オレンジ
学名 Citrus unlgaris
科名 ミカン科
作用 強壮作用、鎮静作用、血中コレステロール降下作用、鎮痛作用、抗鬱作用、血行促進、腸の運動を活発にする、加温作用、リンパ液刺激
○ サイプラス
学名 Cupressus Sempervirens
科名 ヒノキ科
作用 卵巣に働きかけ月経周期を調節(エストロゲンの分泌を刺激)、通経作用(生理をおこさせる作用)、免疫力上昇作用、鎮静作用
○ ローズマリー
学名 Rosemarinus Officinalis
科名 シソ科
作用 発汗作用、血行促進、筋肉通緩和、加温作用、鎮静作用
○ ラベンダー
学名 Lavandula Officinalis
科名 シソ科
作用 月経障害、脾臓刺激、抗鬱作用、ホルモンバランス調整、鎮静作用
○ マンダリン
学名 Citrus reticulata.Blanco var.mandarin
科名 ミカン科
作用 抗鬱作用、鎮静作用、脂肪分解作用、強壮作用、浄血作用、血液・リンパの流れをよくする
○ タイム
学名 Thymus vulgaris
科名 シソ科
作用 血圧上昇作用、強壮作用、脾臓強化作用、緩下作用、循環器系促進作用、発汗作用
○ イランイラン
学名 Cananga Odorata
科名 バンレイシ科
作用 鎮静作用、ホルモンバランス調整作用、子宮強化作用、抗鬱作用、自律神経調整

 *1 厚生労働省HPより 「一人あたりの医療費の動向」
http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/01/4.html
2002.10.08
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