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現地取材!最新中国生保事情 Vol.2
〜フル・コミッションのエージェントが急増〜
  中国の生保各社では、日本のように「固定給+手数料」制度の営業職員ではなく、フル・コミッションのエージェントが販売チャネルの主流となっている。これは、1992年にAIGの子会社であるAIAが上海地域でエージェントを活用した営業で成功したのがきっかけとなっている。以来、内国各社はエージェントの増員に拍車をかけ、現在の登録数は100万人を超えている(男女比率4:6)。特に、今年度から営業地域が北京から全国展開を認められた新華人寿保険公司では、エージェントが一気に2000年度の2,500人から4万人へと急増している。これらの採用源は新聞広告と同僚誘致が主だが、地方での入社説明会にはいずれも数百名単位での参加者があり、登録後の稼働率も北京地域では約75%と、今後一段とエージェントを核とした躍進が期待できると、同社北京分公司の林総経理(日本でいう営業本部長的役職)は語っている。
  しかし、一方で急激な増加でミスリーディングや不当販売行為をするエージェントも出ており、大きな社会問題ともなってきている。監督行政も、商品の宣伝・販売のコンプライアンスや販売許可証の携帯など管理面を強化、1999年6月からは予定利率2.5%超の商品は販売停止命令が出ている。
こうした事態に対応するためにも、内国の生保会社はモラルアップ、教育強化のため、エージェントに毎日出勤を義務づけ朝礼を行っている。毎朝8時30分(一般的な中国の始業時間)から約1時間行われる朝礼の風景や内容は、日本の機関ではないかと錯覚するほど酷似している。それは生保業務の先輩である台湾から経営者や講師を招きノウハウを吸収したが、その台湾自身は日本から学んだという経緯に起因している。もっとも、一機関は平均約100名で日本の3倍程度のスケールがあり、携帯パソコンの貸与や個人用デスクはないなどの違いはある。また、エージェントから登用されたトレーナーや機関長が活動管理や販売指導を行っているが、純然たる管理職ではなくエージェントとしての仕事も行う。配下のエージェントの業績が機関長収入にも連動しており、会社としての制度・規定はなくとも、朝礼参加奨励費や皆勤手当、反対に欠席したら罰金を課すなどの裁量は機関長に任されているようだ。販売先はエージェントにより多少異なるが、基本的にはイニシアルとそこからの展開募集である。したがって、日本のように地域ごとに機関を設ける必要がなく、同一ビルに10機関程度が入居しているのが多い。
  また、貯蓄性商品が主なためニーズ喚起資料や個別設計書などはほとんど使用されず、簡単なパンフレット1枚で顧客に勧誘しているのが実態である。ちょうど、昭和30年代頃の日本が養老保険を保険料表1枚で募集していたのと同じような光景がそこには見られた。
【エージェントの朝礼風景】 【新華人寿の本社ビル】
上海T生命
北京
※厚生労働省発表資料より、「主な取組」の一部を抜粋。
(取材:荒明 孝昌 加藤 登美夫)
2002.10.08
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