9月20日、坂口厚生労働大臣は、「少子化対策プラスワン」と銘打った新たな少子化対策を小泉首相に提出した。厚生労働省では、これまでにも「新エンゼルプラン」などの少子化対策を講じてきたものの、少子化の動きに歯止めがかからず、公的年金制度や公的医療制度などに対する将来への不安が、国民の間で広がりを見せる中での今回の対策となった。
少子化対策プラスワンでは、「子育てと仕事の両立支援」の観点から保育支援を中心とした従来の少子化対策に加えて、「男性を含めた働き方の見直し」など4つの柱を据えた上で、各種の取り組みを列挙している(下表参照)。中でも、冒頭に挙げられている「男性を含めた働き方の見直し」という、これまでにない視点を打ち出した点に注目が集まっている。具体的には、男性の育児休暇の取得率の目標を10%とすることや、男性を含めて育児休業の取得促進に積極的な企業に対する「育児休業取得促進奨励金(仮称)」の創設などを掲げている。
しかし、このような政府の意気込みにもかかわらず、現実は極めて厳しいと言わざるをえない。「子育て世代」の中心となる30代前半の男性は、職務経験や体力的な側面から企業社会においては「最も使い勝手の良い」労働力であり、長時間労働となる傾向がある。まして、折からの不況による人員削減でこの世代の男性社員に対する負荷がさらに増しているともいわれる中で、今回の少子化対策に実効性を持たせるのは容易ではないだろう。
 とはいえ、「男性を含めた働き方の見直し」という問題提起は、長年培われた日本の企業風土そのものに変革を迫る内容であるだけに、今後の動向が注目される。
<主な取組>「すべての働きながら子どもを育てている人のために」
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1. |
男性を含めた働き方の見直し、多様な働き方の実現 |
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子育て期間における残業時間の縮減 |
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子どもが生まれたら父親誰もが最低5日間の休暇の取得 |
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短時間正社員制度の普及 |
2. |
仕事と子育ての両立の推進 |
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育児休業取得率(男性10% 、女性80% )、子どもの看護休暇制度の普及率(25%)、小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率(25%)として、具体的目標を設定 |
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目標達成に向け、様々な促進策を展開 |
3. |
保育サービス等の充実 |
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待機児童ゼロ作戦の推進 |
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パートタイムなどで働いている方々のための新しい「特定保育事業」※ の創設
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週2〜3日、午前又は午後のみの利用といった柔軟な保育サービスを提供 |
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保育ママについて、利用者の必要に応じた、利用日数・時間の弾力化 |
※厚生労働省発表資料より、「主な取組」の一部を抜粋。
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