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30代女性の労働力率
〜日本海沿いの県の女性は仕事と育児を両立〜
  子育て期にあたる30代女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、山形県が76.2%で最も高く、以下、富山、鳥取、福井、島根、新潟、石川と上位7位までをいずれも日本海沿いの県が占めている。最も低いのは、奈良県の48.3%で神奈川、大阪、兵庫、埼玉と50%台が続く(別表1参照)。
  また、女性の平均勤続年数も全国平均は8.9年だが、富山、山形、秋田、島根などは10年を超えており、大都会より日本海に面した地方が労働力率、勤続年数とも高いことがうかがえる。内閣府が発表した「平成14年版男女共同参画白書」では地方圏ほど同居世帯の割合が高いため、育児に家族の支援が得られやすいのではと分析している。
  少子高齢化で女性の労働力は今後ますます必要となるが、女性の労働力率は49.2%でまだ半数に達していない(男性75.7%)。特に、年齢階級別労働力をみると、子育て期にあたる30代前半を谷とするM字カーブを描いている(別表2参照)。
  厚生労働省が9月に発表した「少子化対策プラスワン」は、女性が仕事と子育てを両立できるよう働き方の見直しを提唱しているが、男性の育児休暇取得率は0.42%で無きに等しい状況である。また、今年4月現在で認可保育所の入所を待つ待機児童の総数は約3万5,000人に昇っている(以上厚生労働省調べ)。
  このように、99年に「男女共同参画社会基本法」が制定されてから3年が経過したが、女性の働く環境づくりはまだ整ったとは言い難い。職場内保育所は地方都市の企業で定着しつつあるというものの、ここ数年横ばいである。
  最近、丸の内や霞ヶ関の都心部に企業や官庁の共済組合が保育所を設置し話題を呼んでいるが、女性の働く環境改善へのきっかけとなるか注目される。
【別表1】 育児期(30〜39歳)の女性労働力率
(%)
山形県 76.2   熊本県 68.1   沖縄県 61.9   群馬県 60.3   和歌山県 55.5
富山県 72.4 宮崎県 67.9 山梨県 61.6 愛媛県 59.5 千葉県 53.3
鳥取県 72.4 佐賀県 67.5 岐阜県 61.5 広島県 59.4 埼玉県 52.6
福井県 72.3 福島県 67.1 鹿児島県 61.5 福岡県 59.2 兵庫県 52.1
島根県 72.2 青森県 66.4 岡山県 61.4 東京都 58.3 大阪府 51.7
新潟県 71.6 長野県 63.9 静岡県 61.3 茨城県 57.4 神奈川県 51.2
石川県 71.3 長崎県 63.5 宮城県 61.1 北海道 57.4 奈良県 48.3
高知県 71.2 香川県 63.5 山口県 60.9 愛知県 56.8    
秋田県 70.6 徳島県 63.4 三重県 60.6 京都府 56.5    
岩手県 69.1 大分県 62.0 栃木県 60.6 滋賀県 56.2    
総務省「平成12年国勢調査」より


【別表2】 性・年齢階級別労働力率の推移
総務省統計局「平成13年度労働力調査」
2002.10.29
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